2010 Fiscal Year Annual Research Report
瞑想に頼らない新しいマインドフルネスに基づく認知行動プログラムの提案と効果の検討
Project/Area Number |
22530746
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
伊藤 義徳 琉球大学, 教育学部, 准教授 (40367082)
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Keywords | Cold Pressor / mindfulness / 腑に落ちる理解 / doing mode / being mode / FFMQ |
Research Abstract |
本年度は、マインドフルネスの効果のメカニズムに関する二つの実証的研究を行った。 一つは、マインドフルネスがもたらす効果の核概念として申請者が提唱している、「腑に落ちる理解」が、実際に心理療法の治療効果を高めるかどうかに関わる基礎研究であった。マインドフルネストレーニングがコールドプレッサー課題における苦痛耐性時間を遅延させるかどうかを検討したが、その際、トレーニングの心理教育と、実際のエクササイズのそれぞれに対して、「腑に落ちた」かどうかをそれぞれの参加者に尋ね、落ちたものと落ちていないものの効果量を比較した。その結果、エクササイズに対して腑に落ちたものは、そうでない者と比して耐性時間の遅延量が大きかった。また、心理教育に対しての腑に落ちる程度は直接的な遅延効果は示されなかったものの、エクササイズが腑に落ちた人には、心理教育が腑に落ちているものが多く見られた。この結果から、心理教育を十分行った上でエクササイズを行い、そのエクササイズの意味が腑に落ちている場合、エクササイズの効果が十分に現れることが示唆された。 二つ目は、マインドフルネスの効果における特性と状態の交互作用に関わる研究であった。Watkins(2004)の研究を参考に、失敗経験中のdoingモードとbeingモードの誘導を行い、失敗経験に対する囚われの程度を従属変数として、その効果に対するマインドフルネス特性の交互作用を検討した。その結果、短期的には状態操作の影響が色濃く見られるが、翌日には特性の影響も現れ始めることが示された。 これらの結果から、マインドフルネスの効果を検討する際には、特性と状態の交互作用に注目する必要があり、また、マインドフルネストレーニングといえど、やれば必ず効くわけではなく、その意義が腑に落ちて理解できる時に、効果が発揮されることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)