2010 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者の治療とその副作用に伴う心理的ストレスとQOLに関する臨床心理学的研究
Project/Area Number |
22530757
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
岩満 優美 北里大学, 医療系研究科, 教授 (00303769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藏並 勝 北里大学, 医学部, 講師 (80170075)
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Keywords | 心理的ストレス / がん治療 / QOL / 特性不安 / 感情抑制 |
Research Abstract |
今年度は、がん患者を対象に、確定診断後、治療中、退院1年後といった様々な時期におけるがん患者の心理的ストレスについて主に検討した。 第1に、確定診断を受けた直後、あるいはこれから治療を受ける前のがん患者の心理的ストレスを予測する因子を、良性腫瘍患者との比較で検討した。その結果、特に特性不安が心理ストレスを予測する因子であることがわかった(Psychosomaticsにて掲載)。 第2に、乳がん手術後で、ホルモン療法、化学療法、分子標的治療等を受けている乳がん患者を対象に、更年期症状、不安と抑うつ、QOLとの関係について比較検討した。その結果、6割の乳がん患者に中等度以上の更年期症状が生じており、その頻度はかなり高かった。また、更年期症状を感じている患者ほど、不安や抑うつを感じる傾向があり、QOLも低いことがわかった(総合病院精神医学にて掲載)。 第3に、退院1年後の乳がん患者を対象に、心理的ストレス、コーピング、および感情抑制との関係性について検討した。その結果、否定的感情を抑制する患者は否定的感情を表出する患者と比べて、心理的ストレスを強く感じていた。特に、不安感情を抑制する患者に上記の傾向は認められ、面接からも不安や懸念といった否定的感情の表出が多く認められた(学会で発表)。 最後に、がん医療における心理士の役割やがん患者に対する認知行動療法の有用性について考察した。特に、感情抑制といったキーワードを中心に、がん患者の認知行動療法を実施し、自己犠牲的な認知を、自分中心の認知へと修正し、安心した状況のなかで感情を表出することの大切さを患者に与えることが、心理士の役割のひとつであることが考えられた(学会で発表)。
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Research Products
(16 results)