2012 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者の治療とその副作用に伴う心理的ストレスとQOLに関する臨床心理学的研究
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22530757
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
岩満 優美 北里大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00303769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔵並 勝 北里大学, 医学部, 講師 (80170075)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | がん / 心理的ストレス / 感情抑制 / 特性不安 / 化学療法 / 質的調査 / 緩和ケア / QOL |
Research Abstract |
今年度は、がん患者の心理的ストレスとQOLについて以下の検討を行い、発表した。 ①手術を受けた乳がん患者の心理的ストレスの予測因子について検討した。その結果、初診時に測定した特性不安、ライフイベントに対する否定的認知、感情抑制が術後の心理的ストレスと相関が高く、これらの要因はがん患者の心理的ストレスの予測因子であることを示唆した。 ②化学療法によるQOL、すなわち化学療法による認知面の影響について、化学療法を受けている乳がん患者を対象に検討した。その結果、化学療法中による認知機能の低下は明らかに認められず、それよりも、化学療法による気分の悪化が、認知機能などに影響を与えていることが示唆された。その他、化学療法を受けている乳がん患者の心理的反応と特性不安について、質的調査を行った。その結果、高特性不安群は低特性不安群と比べて、不安、抑うつ、絶望感を強く感じており、否定的感情の表出が高く、肯定的感情の表出が低いことがわかった。 ④緩和ケア病棟入院前後に患者・家族が持つ情報音程度や理解状況について看護師を対象に質問紙調査を実施した。その結果、約5割強の看護師は、患者・家族が十分な情報を持たず、また十分な説明を受けずに入院になったと認識していた。入院前は緩和ケア病棟の利用に仕方について、入院後は治療や病状についての質問が多かった。 以上より、診断時から治療中、そして終末期にいたるまで、それぞれの時期についての心理的ストレスとQOLについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん患者の治療経過における心理的ストレスやQOLについての検討を計画通り順調に進めている。 すでにデータ収集は終わっており、データ分析を行い、研究結果をまとめているところである。特に、化学療法の副作用については、質的にも量的にも検討している。また、化学療法認知機能面に関する影響も検討している。そのため、このまま継続してデータ分析を実施し、研究結果をまとめていくことによって、課題を十分に行うことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集したデータをさらに分析し、検討していく。 がん患者の治療と副作用に伴う心理的ストレスとQOLについて検討するため、これまで実施してきたように、手術、化学療法などの治療に対する心理的反応について質的にも量的にも検討を行う。また、今後はさらにその範囲を広げ、緩和医療や終末期に関することも視野に入れて行っていく。 これらを通して、がん患者の治療中の心理的ストレス軽減に向けた心理的援助のあり方について提案できるよう、検討していく。
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