Research Abstract |
本研究の目的は,ロールシャッハ・テストの解釈の妥当性を高める方策として,データベースを用いた解釈支援システムを構築寸ることである。すなわち,膨大な情報を利用して,いま巨の前にあるロールシャッハ・プロトコルの客観的な位置づけを把握することにより,解釈の妥当性を高めようとする試みである。膨大なデータから引き出される情報は,解釈のための客観的かつ明確な根拠となる。この最終目的に到達するために,平成22年度は,(1)登録データの充実,(2)言語・画像検索システムの向上,の2点を中心に作業をすすめた。 まず,(1)本研究で用いるデータの補充を行なった。ロールシャッハ・データの収集にあたっては,データの性別・年齢・教育歴などの要因に偏りのないよう,各地区の協力者に要請し,バランスよく行った。また,(2)言語・画像検索システムに関しては,遅くとも平成25年度の公開を目指して,研究分担者が中心となり,現在も鋭意作業を継続している。 なお,平成23年度はデータベースに蓄積された言語データに注目し,主に反応内容をテーマとした研究を行った。研究発表欄に示した論文「ロールシャッハ運動反応におけるactive-passiveの概念と精神病理との関係」においては,RorschachからExnerに至るまで脈々と受け継がれる,運動反応における活動性(activity)の概念を見直した。この研究においては,activeとpassiveのコード化の方法について再検討したうえで,精神病理群における出現頻度という観点から,この指標の解釈仮説について吟味した。 また,高瀬はこれまでにデータベースに蓄積されたデータを用いて,ロールシャッハ運動反応の内容に基づいた精神病理査定の方法を提案した(博士論文,総ページ数226)。この研究については,一部に加筆および修正を行ない,できるだけ早い段階での出版を予定している。
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