2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロフィードバックによる行動制御の発達支援に関する実証的研究
Project/Area Number |
22530765
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
篠田 晴男 立正大学, 心理学部, 教授 (90235549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 英恵 立正大学, 心理学部, 講師 (70350353)
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Keywords | ニューロフィードバック / 行動制御 / 発達支援 / ADHD / セルフコントロール / 脳波 / 周波数 / 注意機能 |
Research Abstract |
本年度は、ニューロフィードバック(neurofeedback;NF)法を健常な学生を対象に適用し、θ/βおよびSMRトレーニング前後での生理的・心理的変化に関する評価、また、トレーニング経過に伴う主観的変化に関する質的検討を行った。 生理的変化については、脳波周波数分析の結果から、協力者はβ帯域成分が増大する状態を各自学習し、その状態も一定程度維持されていたことが確認された。一方,SMRトレーニングにおいては,協力者はSMR帯域成分が増大する状態をある程度学習したものの,維持することは難しかった。 心理的変化については、トレーニングの開始・終了時点で評価を行い、ADHD特性チェックリストを用いて比較した結果,SMRトレーニング群ではその得点が減少し,日常生活場面においても、注意の困難さが減じたことが示唆された。 また、トレーニングに伴う主観的な変化については、協力者の言語報告に対しテキストマイニング法を用いた分析を試みた。その結果,両トレーニング条件においても,言語報告の内容は、「方略」,「コントロール感」,「感想」にかかわる3つのカテゴリに分類された。さらに、トレーニングの経過に応じた変化として、開始当初は,課題を成功させることが"難し"く,"焦り"を感じるといった内容から,課題の制御に成功するようになると,"嬉しい","楽しい"など肯定的な主観的体験が生じ,このことがさらなる"モチベーション"の向上につながるといった変化の生じていることが理解された。 なお,今後の課題として、言語報告の変化に基づき、より適切なトレーニングの教示内容や介入のタイミングを調整すること、効果の乏しい場合などは、周波数帯域成分のフィードバックの方法についても再検討を要する可能性も示唆された。加えて、トレーニング終了後から一定期間後のフォローアップ評価も含めて,NFB法の効果維持の検証も課題と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響で、大学の年度開始時期が大幅にずれこみ、授業等を通じて被験者を確保することが難しく、また実験室の使用等についても制約が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、当初の計画に従い、当事者を対象とした事例的研究を主に行うとともに、研究成果報告のとりまとめを行う。また、今年度収集された健常者を対象としたデータに関し、訓練前後における生理計測結果の分析をすすめるとともに、介入の手がかりとなる訓練の進行に応じた主観的変化に関する質的研究の結果についても、論文化を行う。なお、当初予定していた、脳波による3次元解析が難しい場合は、2次元解析により検討を行う。
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[Journal Article] Reduced prefrontal hemodynamic response in children with ADHD during the Go/NoGo task : a NIRS study2011
Author(s)
Inoue, Y., Sakihara, K., Gunji, A., Ozawa, H., Kimiya, S., Shinoda, H., Kaga, M., Inagaki, M.
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Journal Title
Neuroreport
Volume: 23巻・2号
Pages: 55-65
Peer Reviewed
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