2010 Fiscal Year Annual Research Report
母親の対人的楽観性の変容が幼児の対人的問題行動の予防に及ぼす効果
Project/Area Number |
22530766
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
沢宮 容子 立正大学, 心理学部, 教授 (60310215)
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Keywords | 楽観性 / 悲観性 |
Research Abstract |
平成22年度においては、母親の対人的楽観性が幼児の対人的問題行動にどう影響するのか、その因果関係を明らかにすることを目的とし、本研究を実施した。 具体的内容としては、(1)性別、月齢、発達程度などは同じだが、一方は母親の対人的楽観性が高い幼児の群、他方は母親の対人的楽観性が低い幼児の群の2群を抽出し、(2)各群の幼児の発達プロセスを、ビデオ録画や自然観察の分析などによって比較し、母親の対人的楽観性が幼児の対人的問題行動に及ぼす影響について検討を行った。 また、幼児の母親に対しては、楽観的帰属様式尺度(沢宮・田上、1997)、養育態度尺度(鈴木ほか、1985)などを実施した。さらに、各群の幼児について、幼児の通う幼稚園の担任教諭を対象に、幼児用社会性尺度(沢宮、1998)などを実施した。 以上の研究は次年度も継続して行う予定である。 親から幼児に及ぶ影響を論じる場合、過保護・過干渉、放任などといった親の養育態度からアプローチすることが通常であるが、本研究は「親の自己認知のあり方」が幼児に及ぼす影響に焦点を当てている点に独創性がある。現場の心理臨床実践では、さまざまな制約により、幼児と直に接することなく、幼児の問題を母親のみを介して解決せざるを得ないケースも少なくない。母親の対人的楽観性を変容させる本研究のアプローチは、そのようなケースにおいても有効性が期待できることから、大きな意義をもつと考えられる。
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Research Products
(13 results)