2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530769
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
福井 義一 甲南大学, 文学部, 准教授 (20368400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 肇 静岡大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (60302361)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 解離 / 尺度作成 / 虐待的養育環境 |
Research Abstract |
2012年度は,調査協力を予定してくれていた医療機関が,引き続き震災支援で多忙であったため,臨床群ではなく大学生アナログ群により調査とそのデータ分析を引き続き実施した。 まず,新しい尺度作成と直結する成果としては,日本トラウマティックストレス学会において,「青年期における解離の主観的体験と解離性体験の関連-夢見体験との関連から-」,日本心理臨床学会において「青年期における解離の主観的体験と解離傾向の関連-気配過敏症状を捉える尺度の作成とその信頼性・妥当性の検討-」を発表し,解離の主観的側面を捉える項目を選定した。 他には,日本トラウマティックストレス学会において,「外傷性=解離性スペクトラム―心身症性・身体表現性の皮膚症状に焦点を当てて」と題したシンポジウムを企画し,身体表現性解離に関するテーマを共有した。そこでは,「大学生アナログ群における解離のロールシャッハ指標の探求」と「アトピー性皮膚炎患者における心身の解離傾向とロールシャッハ反応」という演題を提供した。前者はさらに日本ロールシャッハ学会において「大学生アナログ群における解離のロールシャッハ指標の探求2―Klopfer法により主要反応と附加反応を別々に記号化した探索的検討―」という演題で発展的にまとめられた。 また,虐待的な養育環境と解離傾向の関連を検討し,日本トラウマティックストレス学会において「虐待のタイプと成人愛着スタイル,心身の解離傾向の関連-アナログ研究の観点から-」,日本心理学会において「虐待的養育環境と不安感受性が解離傾向に及ぼす影響―青年期アナログ群を対象として―」,催眠医学心理学会において「日本語版CATS (Child Abuse and Trauma Scale) で捉えられるトラウマのタイプと解離傾向等の病理指標との関連(2)―複数の青年期サンプルを用いた再分析―」として発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述したように,協力予定であった医療機関が震災対応に傾注することになり,臨床群における調査が滞っている。青年期アナログ群における調査や検討は,想定以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したような問題から,今回の検討では,青年期アナログ群から得られたデータを詳細に分析して,新しい尺度のひながたを作成する。特に,これまで検討されてこなかった,解離の主観的側面を捉える尺度を精錬し,従来の客観的な解離性体験尺度,身体表現性解離尺度,アレキシサイミア傾向の尺度との関連を検討する。そのデータについては,European Society for Traumatic Stressにおいて,発表する予定である。さらに,計画時には含まれていなかったロールシャッハ・テストによる解離傾向のアセスメントについての学会発表が高く評価されていることから,解離を捉える補助的手段として確立し,論文化を進めていく。
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Research Products
(8 results)