2012 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者のスピリチュアルペインと心理的援助-グループ療法を用いて-
Project/Area Number |
22530772
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
河瀬 雅紀 京都ノートルダム女子大学, 心理学部, 教授 (70224780)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / 癌 / 心理療法 / 実存的苦痛 |
Research Abstract |
乳がん患者を対象に、我々が開発したグループ療法プログラムを用いて、実存的苦痛(スピリチュアルペイン)の緩和に対する効果を量的調査により確認するとともに、実存的苦痛に関する記述や「語り」から質的な変化も明らかにし、個々の患者の心理特性や病期(初発、再発など)に応じたより有効な介入プログラムの開発へとつなげていくことを目的とした。 本研究では、乳がん手術後1年以内の患者を対象にグループ療法を実施した。評価尺度として、POMS短縮版、SELT-M(スピリチュアルQOLの評価尺度)、MAC(Mental Adjustment to Cancer)、日本語Big Five尺度、「人生の意味・目的」に関する文章完成法(8項目)を用いた。また、実存的苦痛の質的変化をみるためにグループ療法中の会話を記録した。SELT-M各下位尺度の介入前後の変化を従属変数、MAC各下位尺度高低群を独立変数とし、介入前の得点を共変量とした共分散分析の結果、MAC「前向き」高群が低群に比べて、SELT-M下位尺度「人生に対する考え方」「全体的QOL」の得点が有意に改善した。また、MAC「絶望感」高低群、グループ療法実施前後を独立変数、SELT-M「全体的QOL」を従属変数とした2要因分散分析では交互作用が認められ、単純主効果により、MAC「絶望感」高群でSELT-M「全体的QOL」得点の有意な改善がみられた。そしてMAC「絶望感」高群についての質的分析から、グループ療法実施前の自責の念や現実および他者との関係に対する否定的な認知が、積極的な姿勢や肯定的な認知に変化していることがわかった。 以上より、初発乳がん患者の実存的苦痛に対して、グループ療法プログラムの有効性が確認された。また、がん罹患に伴う自責の念や現実および他者との関係に対する否定的認知への対処に重点をおいた介入プログラムの必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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