2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポジティブ感情経験とストレッチングがうつ病および心臓血管疾患の予防に果たす役割
Project/Area Number |
22530780
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
桾本 知子 東亜大学, 人間科学部, 准教授 (80449909)
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Keywords | ポジティブ感情 / ネガティブ感情 / 感情誘発語視聴覚提示リスト(AAVWL) / 抑うつ / 心臓自律神経活動 / ストレッチング / 心臓血管疾患 |
Research Abstract |
本研究では,抑うつ者におけるポジティブ感情の喚起とストレッチングが抑うつのレベルと心臓自律神経活動に及ぼす影響を検討する。平成22年度の研究において,実験的にポジティブ感情を喚起させる道具として感情誘発語視聴覚提示リスト(AAVWL)を作成し,その有効性を確認した。まず,ポジティブ語,ネガティブ語,中性語を各45語選択し,15語ずつランダムに抽出して3種類の予備リストを作成した。大学生119名に予備リストを実施し,熟知度と快-不快度を評定させた(被験者間計画)。熟知度の高い単語の中から,快-不快度のレベルにより各刺激語を20語ずつ選び,3種類の刺激語リストを作成し,AAVWLとした。 つぎに,大学生61名をポジティブ語リスト,ネガティブ語リスト,中性語リスト条件にランダムに振り分け,個別実験を行った。ストレス刺激提示システムMaP1730を用いて,各リストの刺激語をディスプレイ上に2秒間視覚提示し,同時に密閉型ヘッドホンを通して刺激語の読み上げを聞かせた。アルト声域の女性アナウンサーが1秒に1語読むペースで読み上げ,それを録音した音声を聴覚刺激として用いた。いずれの刺激語リストについても9試行行い,刺激語の提示順序はランダムにした。倫理的配慮から,ネガティブ語リスト条件の参加者には,最後にポジティブ語リストを提示した。リストの視聴覚提示の前後に,POMS短縮版と一般感情尺度を用いて感情状態を測定した。各感情状態得点について,条件×性×時期の分散分析を実施した。その結果,ポジティブ感情について,男性ではポジティブ語リスト提示による効果が確認されたが,女性では部分的に見られるに留まった。一方,ネガティブ感情については,男女ともにネガティブ語リスト提示効果が認められた。個人特性としての抑うつが結果に影響を及ぼした可能性が指摘されるため,個人特性を考慮して検討する必要はあるが,AAVWLの使用に一定の有用性が認められたと考えられる。
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Research Products
(1 results)