2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポジティブ感情経験とストレッチングがうつ病および心臓血管疾患の予防に果たす役割
Project/Area Number |
22530780
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
桾本 知子 東亜大学, 人間科学部, 准教授 (80449909)
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Keywords | ポジティブ感情 / ネガティブ感情 / 改訂版感情誘発語視聴覚提示リスト(AAVWL-R) / 抑うつ / 心臓自律神経活動 / ストレッチング / 心臓血管疾患 |
Research Abstract |
抑うつ者におけるポジティブ感情の経験とストレッチングが抑うつのレベルと心臓自律神経活動に及ぼす影響を検討するために,平成23年度は,平成22年度に作成した感情誘発語視聴覚提示リスト(AAVWL)を用いて,ポジティブ感情,ネガティブ感情および中性感情を喚起させ,感情の種類による心臓自律神経活動の違いを検討した。その結果,予測に反して,心臓副交感神経活動には喚起された感情の種類による影響が見られなかった。一方,心臓交感神経活動はポジティブ感惰の喚起によって亢進し,ネガティブ感情の喚起によって減退する傾向が示され,先行研究と矛盾する結果となった。その理由として,AAVWLの各リストを構成する刺激語の選択基準として快・不快度のみを採用し,主観的覚醒度については考慮しなかったことが考えられた。感情は快・不快のヴェイレンス(valellce)次元と喚起(activation)次元の2次元によって分類されるため,選択基準として快・不快度と主観的覚醒度の2つを設定する必要性が指摘されるからである。 そこで,平成23年度後半の計画を変更して,ポジティブ語・高覚醒リスト,ポジティブ語・低覚醒リスト,ネガティブ語・高覚醒リスト,ネガティブ語・低覚醒リスト,中性語・中覚醒リストの5種類からなる改訂版AAVWLを作成した。そして,改訂版AAVWLの5種類のリストを視聴覚提示し,提示前,提示中および提示後の心臓自律神経活動を連続測定した。現在,各リストの提示により喚起された感情についてヴェイレンスと喚起の次元から詳細に検討するとともに,心臓自律神経活動についても分析を行っている。 以上のように,AAVWLを改訂する必要が生じたため「ポジティブ感情経験は抑うつレベルを低下させるが,抑うつ者の心臓副交感神経活動には影響しない」という仮説検証と,ストレッチングを取り入れた実験は実施できず,平成24年度に持ち越しとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成22年度に感情を実験的に喚起させるための道具として作成した,感情誘発語視聴覚提示リスト(AAVWL)を改訂する必要があったため,遅れが生じた。AAVWLを用いて,喚起された感情の種類による心臓自律神経活動を検討したところ,予測と反して先行研究と矛盾する結果となった。その理由として,AAVWLの各リストを構成する語の選択基準に快・不快度だけでなく主観的覚醒度を加えて,計5種類のリストとして作成し直す必要性が指摘され,当初の計画を変更せざるを得なかったため,遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に行う予定であった「ポジティブ感情経験は抑うつレベルを低下させるが,抑うつ者の心臓副交感神経活動には影響しない」という仮説検証を実施する。また,ストレッチングが抑うつと心臓自律神経活動に及ぼす影響についての実験を行い,ストレッチング効果に関する基礎的データを得る。これは当初の計画になかったが,ポジティブ感情経験と組み合わせて実験を行う前に,ストレッチング単独の効果を検討する必要があると考え,行うことにした。これらの実験結果により,うつ病および心臓血管疾患予防の基礎的研究の土台作りを行う。
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Research Products
(1 results)