Research Abstract |
本研究では,学校現場における若者の心理的問題についての課題を解決する一つの方法として,児童・生徒らのメンタルヘルスリテラシー(メンタルヘルスに関する知識,理解,態度)に着目した。 しかしながらこれまでは,若者のメンタルヘルスに関する一般化できる情報は乏しく,諸外国との比較可能性をもつ調査は行われてこなかった。 そこで本研究では,オーストラリアで開発された「National Survey of Mental Health Literacy in Young People」を日本語版調査票として開発したもの「児童・思春期のメンタルヘルスリテラシー調査票」を活用して若者のメンタルヘルスリテラシーをはかり,これまで実施してきたメンタルヘルスリテラシーの調査結果や国際比較による検討を行い,普及啓発等の心理教育的支援を探ることを目的とした。 研究計画2年目は,(1)研究1年目に実施した調査結果の解析を更に進め,これまで日本で行ってきた結果との比較を通して,その特徴についてまとめた。(2)(1)の結果や諸外国との意見交換をもとに,日本における心理教育的支援のポイントについて整理した。 その結果,次のようなことが明らかになった。 (1)については,他のグループ(日本の20代)と比較した結果.次のようなことが明らかになった。1)例えばうつ病事例への認識度については,20代と比較して「ストレス」と認識する割合が最も高かった。2)有効な援助としては,カウンセラー,家族,仲のよい友人への期待が高い一方で,20代と比較して「自分自身で解決する」の割合も約40%と高かった。3)援助を求めたいかについては,(事例の別を問わず)男性の60%以上,女性の80%以上が「援助を求めたい」と回答していたことなどが明らかになった。 (2)については,メンタルヘルスを守り育むための支援として,学校内でのメンタルヘルスリテラシー支援の工夫は勿論,コミュニティの中で若者がアクセスしやすい環境づくりをしたり,インターネットによる情報の質の検証をするなど,社会全体で若者のメンタルヘルス支援に関する普及啓発活動を行う必要性についても示唆された。
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