2011 Fiscal Year Annual Research Report
主動型リラクセイション療法がセルフ・コントロール向上に及ぼす影響に関する研究
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22530782
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Research Institution | Fukuoka Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
大野 博之 福岡女学院大学, 大学院・人文科学研究科, 教授 (00037037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奇 恵英 福岡女学院大学, 人間関係学部, 准教授 (40412689)
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Keywords | 臨床心理学 / セルフコントロール / 主動型リラクセイション療法 / 自己弛緩 |
Research Abstract |
2011年度には、幼稚園児の母親24名を対象に延べ18回(1グループ平均9名、1グループあたり6回実施)のサート面接、ダウン症児の母親8名を対象に延べ12回(1グループ平均4名、1グループあたり3回実施)、大学生173名への質問紙調査及びサート面接(自己志向的完全主義高群8名/低群8名を対象に一人当たり3回のサート面接)実施を通してデータを収集し、2010年度のデータと総合し、分析した。データの内容について、大学生及び子育て中の母親に対しては、サート面接スタート時及び終了時の事前・事後比較インタービュー及び面接経過中の逐語録、毎回のサート面接の前後のPOMS尺度、自己コントロール感を含めた自己意識尺度(面接スタート時と終了時)であった。さらに、ダウン症児の親子グループに関しては、ビデオ記録を行い、子どもの変化とともに、母親の関わり及び子どもへの理解変化に焦点を当てたビデオ分析を引き続き行った。それぞれ立場と回数の違いがあったが、概ね、心身の活性化とセルフ・コントロール感向上といった共通の結果がみられた。特にからだ(自体)への気づきや自分が自分を変えられるという達成感、主体感がサートの効用としてみられ、それらがセルフ・コントロール向上に重要な要因になっていることがうかがえた。これらの内容は、それぞれ2011年度の学会発表(3件)および研究論文(3件)等にまとめて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セルフ・コントロール機能を高めるための主動型リラクセイション療法(サート)の効用を検証するにあたって、子育て中の母親、大学生、ダウン症児の母親といった多様なグループにサートを一定期間実施し、その結果を検討した結果、概ねセルフ・コントロール向上とその持続性に効果があるといった結果が得られ、当初の研究目的を達成したと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
心理療法である主動型リラクセイション療法(サート)は当人の動きを通してリラクセイション(適度弛緩-適度緊張)を達成し、心身の活性化やセルフ・コントロールの向上に有効であることが本研究課題で検証されたことから、心理療法の手法が日常の健康維持やQOLの向上に寄与できることが考えられる。特に、子育て支援、高齢者のQOLの向上、長期に渡る被災者の心理支援など、今後さらに重要となる社会的課題の解決において、臨床心理学的手法がその解決に寄与できる可能性を示唆していると考え、より一般に活用できる手立てを確立することが今後の研究課題の方向性であると考えている。
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Research Products
(7 results)