2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530788
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
實森 正子 千葉大学, 文学部, 教授 (80127662)
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Keywords | 比較認知心理学 / 認知心理学 / 視覚探索 / 視覚的注意 / 進化 / 動物認知 |
Research Abstract |
人の顔合成画から自然カテゴリの構造を模した人工カテゴリを作成し、カテゴリ事例を非カテゴリ事例(カテゴリ作成には用いなかった顔画像)の中から探し出すカテゴリ探索課題でハトを訓練した。その結果、ハトは容易にカテゴリ探索課題を学習した。また、妨害刺激として同時に呈示される非カテゴリ事例が同じである斉一(homogeneous)条件から、それらが異なる非斉一(heterogeneous)条件に変わっても、ハトは高い正答率を示した。この結果は、ハトは同時に呈示された画像の中から1つだけ異なるものを探索していたのではなく、学習したカテゴリの事例を探索していたことを示唆した。また、標的であるカテゴリ事例を見つけ出すまでの探索時間は、妨害刺激数が多くなるほど長くなり(serial processing)、探索効率はheterogeneous条件よりhomogeneous条件で有意によかった。こうしたカテゴリ探索は、それまで訓練に用いなかった新奇なカテゴリ事例にも転移した。また、カテゴリ事例の典型性を変化すると、カテゴリ典型性が高い事例ほど探索時間が短くなる典型性効果が示された。この効果は、探索画面上の妨害刺激とカテゴリ事例との単なる知覚的非類似性によるものではなく、カテゴリ事例の典型性によるものであることが確認された。これらの結果から、ハトは探索対象としてのカテゴリ特性を学習し、カテゴリ特性が視覚的注意を駆動・制御していることが明らかになった。すなわち、カテゴリ学習というトップダウン処理の効果が、ハトのような動物の視覚的注意過程においても見出されたと言える。
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