2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530789
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木村 英司 千葉大学, 文学部, 准教授 (80214865)
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Keywords | 瞳孔反応 / 両眼視 / 異眼間競合 / 視野闘争 |
Research Abstract |
本研究の目的は、異眼間競合時の知覚と瞳孔反応との対応関係の検討を通じて異眼間競合のメカニズムを解明するとともに、視覚処理を客観的・非侵襲的に検討する指標としての瞳孔反応の有用性と限界を探ることにある。平成22年度は、主として異眼間競合時の知覚変化と瞳孔反応との対応を検討した。実験では、異なる刺激を離眼提示して視野闘争を生じさせた後に別の刺激に切り替えることにより、刺激の物理的変化と知覚変化が食い違う状況をつくり、検討を進めた。これまでの研究を発展させ、白刺激と黒刺激を用いて行った明るさ操作実験では、刺激の明るさ増加に対する瞳孔の収縮反応と明るさ減少に対する散大反応のいずれにおいても、見かけの明るさ変化に対応して瞳孔反応の振幅が変動することが明らかとなった。ただし、明るさ変化と瞳孔反応との対応は完全ではなく、刺激の見かけが白→白あるいは黒→黒と大きくは変化しない場合であっても、刺激の物理的強度が増加した場合には縮瞳が、減少した場合には散瞳が生じた。以上の結果は、知覚処理の基盤となる神経活動が直接的に瞳孔反応を駆動しているというよりも、瞳孔反応の駆動は皮質下経路によりなされ、そこでの神経活動が皮質での異眼間抑制処理の影響を受けて変調されているという解釈と一貫するものである。また、光強度変化に対する瞳孔の収縮と散大は異なる中脳神経核により制御されていることから、皮質下経路での処理に対する皮質からの影響は特定の神経核に限定されないと考えられる。平成22年度はさらに、同様のパラダイムを用いた色操作実験とパターン操作実験を行い、明るさの場合と同様に色やパターンに関しても知覚変化に対応した瞳孔反応の変動を確認した。ただし、色やパターンを用いた場合の瞳孔反応の大きさは輝度変化の場合と比較して小さく、実験条件による反応の変化が検出しにくいという問題があるため、この解決が急務となっている。
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Research Products
(3 results)