2011 Fiscal Year Annual Research Report
日・英・米のがん患者調査を通じた、リスク楽観度尺度及び患者主体の治療選択技法構築
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22530790
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山岸 侯彦 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 准教授 (70286136)
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Keywords | リスク知覚 / がん治療 / 楽観性 / 意思決定 / 選好 / インフォームドコンセント |
Research Abstract |
日本、連合王国、米合衆国で血液がん患者を対象にウェブ調査を実施し、有効治療確立度と病歴によるがん治療法選好の傾向を確認した。次ページ雑誌文献の「平原・山岸(2011)」で成果を刊行した。概要の和訳は下記の通りである。「本研究ではがん患者の治療リスク知覚を分析した。医療従事者や患者による逸話的記録の多くから、がん患者の治療リスク知覚は病歴に依存して変化する可能性が指摘される。初発患者は治療及びその帰結に対して楽観的である一方、こうした楽観は再発患者には見られないことは、逸話的に度々示唆される。この現象を定量的・実証的に把握するため、日本の患者組織から百二十名の調査回答者を得た。結果、初発対再発の比較においては予測されたような楽観性の違いは見られなかった一方、治療の進行度合いによる違いを系統的に観察した。継続治療中の患者は、寛解中で治療下にない患者に比べ、治療リスク及び予後の経過への見通しがより楽観的である事が明らかになった。因子分析の結果から、リスクの観点として【再発】【積極的治療の有無】【医療事故】の三因子を抽出した。 がん患者の治療リスク楽観度と関連する「道徳性判断」の実験を実施し、次ページの学会発表「NakamumandYamagishi(2011)」で成果を発表した。 共同研究者のSchw飢z教授のチームは、米合衆国のリスク楽観度尺度である「DOSPERT」の調査を実施した。これは日本における調査との比較を前提とした予備調査である。成果は次の査読付き学術論文となった(米合衆国内調査の実施に山岸が関与しなかったため、この論文は次ページの「13研究発表」に含めない)。この調査結果と、既に日本で収集したデータの調査結果の比較検討は、平成24年度の課題である。 JudgmentandDecisionMalting,Vol.7,No.2,March2012,pp.189-195.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本、連合王国、米合衆国で調査を実施した結果、日本の調査において有効サンプル数が不十分であると分かった。、このため、平成24年には日本での再調査を実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上記理由のため、平成24年には日本での再調査を実施する必要がある。日本人回答者から収集した現有データと新データを統合し、日本、英国、米合衆国の比較研究としての完成を目指す。
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Research Products
(2 results)