2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホメオスタシス性睡眠調節モデルに基づく不眠改善に関する実験研究
Project/Area Number |
22530796
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
廣重 佳治 鳥取大学, 地域学部, 教授 (80140416)
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Keywords | 睡眠時間制限 / 睡眠日誌 / アクチグラフ / 睡眠効率 / 脳波デルタ活動 / ホメオスタシス性調節 / 睡眠ポリグラフ / 睡眠改善 |
Research Abstract |
I.実験環境の整備:(1)公募により8名の実験参加者(成人)を得た。本研究の目的,個人情報の保護,資料の目的外の使用禁止等についてのインフォームドコンセントを文書で得た後,年齢,性別,連絡先,参加時期,不眠愁訴,朝型夜型の睡眠習慣,性格特性等のデータベースを作成した。(2)ディジタル脳波計のバージョンアップと増幅器増設とそれに伴うMACコンピュータの更新,およびアクチグラフのバージョンアップを実施した。(3)終夜睡眠ポリグラフの補助協力者を得た。 II.予備実験:睡眠時間制限と睡眠改善の関係の検証を3段階に分けて実施した。段階1:睡眠愁訴の実情を把握する目的で連続7日間の自宅睡眠の様子を睡眠日誌とアクチグラフで記録し,就床・起床時刻の乱れを7名に確認した。段階2:睡眠時間の制限を系統的に実施するために認知行動療法を援用して睡眠効率が85%を超えるように連続20日間の自宅睡眠の就床時間(最短5時間)を調整した。その経緯をメール,日誌,アクチグラフにより記録し,7名中4名は各自の希望時間帯に就寝する改善効果があった。段階3:睡眠時間制限を3条件用意し(通常の就床時刻から2時間遅延,1時間遅延,遅延なし),睡眠の改善効果を睡眠脳波により客観的に検討した。各制限条件のもとで6日間の自宅睡眠を過ごした後,7日目の実験室睡眠の経過を睡眠ポリグラフ記録した。睡眠脳波のスペクトル解析(MEM法)の結果,就床時刻が遅いほど睡眠経過の初期に高エネルギー,高密度の脳波デルタ活動が現れた。睡眠時間制限による睡眠改善がホメオスタシス性調節によることを示す成績と理解される。認知行動療法に準拠した睡眠時間制限が本研究に適した方法であると考えられる。睡眠感とアクチグラフのデータは現在分析中である。5月以降に開催される日本生理心理学会,日本心理学会,日本睡眠学会等で発表予定。
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