2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530797
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮谷 真人 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90200188)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 表情 / 反応制御 / No-Go電位 |
Research Abstract |
表情による反応抑制過程の違いについて,事象関連電位(ERP)のNo-Go電位を指標として検討した。平成24年度には,複数の顔刺激によって2つの反応準備が同時に喚起され,適切な反応を行うためにはその一方を抑制しなければならない競合事態における反応抑制過程について,2つの実験で検討した。 1.標的となる表情の周囲8カ所(上下左右,左上,右上,左下,右下)に妨害刺激を配置した刺激を作成し,標的(笑顔,怒り顔)と妨害刺激(笑顔,怒り顔)を組み合わせた4条件で,Go/No-Go課題を遂行中のERPを記録した。笑顔に対して反応する場合と,怒り顔に対して反応する場合とで,No-Go電位を比較した結果,以下の3つのことがわかった。第1に,笑顔に対して反応する時,怒り顔に対してはNo-Go電位は出現しなかった。第2に,怒り顔に対して反応する時,笑顔に対して大きなNo-GoO電位が出現した。第3に,笑顔に対するNo-Go電位は,その笑顔の周囲に怒り顔が呈示されると,出現しなくなった。 2.上記の結果の再現性を確認するために,刺激を写真から線画に変更するとともに,参加者の反応によって刺激が近づいたり遠ざかったりするような印象が生まれるように工夫して,同様の課題を実施した。その結果,怒り顔に対するNo-Go電位が大きく,周囲の怒り顔は笑顔に対する反応に影響するが,周囲の笑顔は怒り顔に影響しなかった。 2つの実験で一見相反する結果が得られたが,これらは,どちらも表情に関する評価と反応との自動的な結びつきを示していると考えられる。また,平成22-23年度に実施した,顔刺激を1つずつしか提示しない単純なGo/No-Go課題では,笑顔と怒り顔でNo-Go電位の振幅差はなかった。これらの結果の不一致の原因を探ることで,感情情処理と抑制機能の関連についての新たな知見が期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|