2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタ記憶の観点に基づく記憶モニタリングの正確性と記憶コントロールの効果性の評価
Project/Area Number |
22530803
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
清水 寛之 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (30202112)
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Keywords | 実験系心理学 / 記憶 / メタ記憶 / 記憶コントロール / 記憶モニタリング |
Research Abstract |
本研究は、近年、認知心理学的記憶研究において重要視されているメタ記憶に関連して、個人がどのように自らの記憶能力や記億特性、知識状態をとらえ、能動的な記憶活動の展開に生かしているのかを実証的に明らかにすることにある。個人から記憶モニタリングの正確性と記憶コントロールの効果性に関する実験室データと日常記憶データの両方を収集し、それらに基づいて認知心理学的モデルの構築を試みるものである。全体で3年の研究期間のうち2年目である平成23年度においては前年度の研究実績をもとに当初計画を拡張したうえで、具体的に次の四つの研究活動を行った。 1.実験・調査・検査の準備:これまでに入手した先行研究資料、及び前年度に実施した予備実験・予備調査の結果をもとに、本研究の実験調査データ収集計画に関してかなり大幅な拡張を行った。拡張事項は主に次の3点である。(1)日常生活場面でのメタ記憶の調査について当初予定していた3種類の質問紙(EMQ,CFQ,及びMAQ)に加えて、最近日本版が開発されたMIA(成人用メタ記憶尺度)を導入する、(2)展望的記億との関連から時間的展望に関する尺度(最近日本版が開発された)を導入する。(3)記憶実験と記憶調査に加えて、標準化された個別記憶検査を実施する。こうして拡張された実験・調査・検査を行うために、実験室の再整備、調査用紙・検査用紙の設計・調達、研究データの記録様式の再設定、実験等参加協力者の確保、実験補助要員の確保などを行った。 2.実験・調査・検査の実施:実験等参加協力者に対する個別的な実験・調査・検査に着手した。 3.データ分析のための準備:研究データを分析するための手法や統計解析に関する資料を入手し、試験的な分析を行った。 4.既有の実験・調査データの公表(論文化):本研究の計画推進を図るために,本研究テーマに関連してすでに収集した実験調査データの整理・分析を行い、学会発表及び論文執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」に記したように、予備実験と予備調査の結果、及び他の研究者による最近の研究結果をもとに当初の研究計画の拡張を図った。そのために、研究スケジュールの点では当初の予定よりも実験等の準備段階で若干の遅滞が生じた時期もあったが、全体の3カ年度の研究期間の2年目の研究達成度という点では当初の研究計画よりも多大な成果につながる進展がなされたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のとおり、当初の計画よりも、本研究で実施する実験・調査・検査がかなり大規模になったために、実際の研究データの収集に要する期間が長期化するとともに、実験等参加協力者への負担が大きくなった。そうした問題に対応し、本研究課題の成果を最大化するために、全体の研究期間の最終年度である平成24年度では、当初の予定であった海外での国際学会での中間的な研究成果(一部)の発表を取りやめ、それに要する時間と労力を研究データ収集にあてる。海外の学会への渡航費は、研究協力者(実験調査への参加協力者や実験調査データの整理補助者など)への謝金にあてる予定である。
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Research Products
(8 results)