2012 Fiscal Year Annual Research Report
自由再生において単純および複合環境情報が引き起こす文脈依存効果の実証的比較研究
Project/Area Number |
22530805
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
漁田 俊子 静岡県立大学短期大学部, その他部局等, 教授 (40161567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
漁田 武雄 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (30116529)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自由再生 / 文脈依存効果 / 場所文脈 / ビデオ文脈 / BGM文脈 / 学習時間効果 |
Research Abstract |
自由再生における環境的文脈依存効果については未解決の問題が多数存在する。本研究代表者らは様々な環境情報(場所,コンピュータディスプレイの背景色,BGM,匂い,ビデオ)が自由再生にどのように影響するかを実験研究によって調べてきた。 平成24年度は,①ビデオ文脈,②BGM文脈, ③場所文脈を用いて自由再生への効果を検証した。①「自由再生におけるビデオ文脈依存効果が学習時間効果におよぼす影響」:ビデオ文脈依存効果が学習時間効果に影響をおよぼすかどうか実験を行った。その結果,ビデオ文脈依存効果が学習時間効果を規定しないことを見いだした。②「楽曲のテンポがBGM文脈依存再生におよぼす影響」:Balchら(1992)がテンポ変化が気分変化を引き起こし,その気分が記憶を規定すると述べたが,Balch らは楽曲を1種類しか用いなかった。そこで本研究代表者らは楽曲を複数用い,テンポ変化を含まない楽曲変化とテンポ変化を含む楽曲変化を比較することでテンポがBGM文脈依存再生に影響を及ぼすかどうか調べた。結果は,テンポ変化の有無に関わらず楽曲の異同でBGM文脈依存効果が生じることを見いだした。 ③「自由再生における場所文脈依存効果におよぼす学習時間の影響」:Isarida(2005)の実験に追加データを加え,メタ分析を行って,ワンショット仮説(Shiffrinら)を検証した。その結果,ワンショット仮説はコンピュータディスプレイ環境に限定するなら成立するが環境的文脈全般について一般化することには無理があることを見いだした。 これらの成果は学会発表を経て,国際誌に投稿するため,論文化の準備に入っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.これまで不明確だった「再生のビデオ文脈依存効果」について,決着できる見通しまで持って来れた。 2.研究目的に「余裕があれば実施する」と記載したBGM文脈についても検証できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成24年度の結果については,今後さらにデータを追加して,国際誌に投稿する予定である。 2.一昨年度まで行ってきた匂い文脈の実験結果をまとめて,国際誌に投稿した。その結果,現在原稿を一部修正中であり,今年度中には掲載される予定である。 3.平成25年度がこの研究課題の最終年度となる。そこで,再生の環境的文脈依存効果についてある程度の区切りを付けたいと思っている。
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Research Products
(4 results)