2012 Fiscal Year Annual Research Report
近代北海道における小学校と地域社会-「開拓」と教育「普及」の相剋に着目して-
Project/Area Number |
22530808
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
坂本 紀子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40374748)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 教育史 / 近代北海道 / 移住民 / 簡易な教育 |
Research Abstract |
北海道庁は、1892年に「団結移住ニ関スル要領」を制定し府県からの移住民を募った。しかし、戸数が少ない地域では小学校を設置することができず、移住民は僧侶や住民に依頼して簡単な読み書き計算を子どもたちに教授してもらうための私設の教場を設置していった。例えば札幌郡野幌村に設置された教場では、僧侶が教員免許を持っていたため、小学校で使用されていた普通読本を教科書として使っていた。しかし多くの私設の教場では教える者が教員免許を持っていない場合が多く、経文を通読させていたところもあった。建物は寺院の一部や草小屋などが使用されて2,3人から30人程度の子ど もたちが集められた。授業料を月々徴収したところもあれば、わずかな寄付で賄っていたところもあった。 道庁は1898年に「簡易教育規程」を定め、一私人で教員資格を有し教場施設を持つものに教育を委託することで小学校教育が行われたことを認める制度を実施した。教科は修身、読書、習字、算術の4科目で、毎月25時間以上の授業を行えばいいというものであった。1901年にこの規程は改正され、尋常小学校を設置することができない地域はそのような簡易教育を行う簡易教育所を設けることができるとし、簡易教育所が尋常小学校に代わる機関であることが認められた。これにより道内にあった多くの私設の教場が簡易教育所となった。簡易教育所の多くは藁葺きの一教場のみある施設で、教員は代用教員であった。尋常小学校に準じた内容を実施しているところもあれば、教員の都合に合わせた内容が実施されているところもあった。そして1900年、北海道の小学校就学率は急激に上昇する。1902年には85%に、1903年には88%になる。北海道の小学校就学率の上昇は「簡易教育規程」により、「簡易な」施設設備で「簡易な」教育内容を実施することで小学校教育が行われたと認めることで果たされたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)