2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヴァイマル期ドイツにおける消費社会の進展と家庭教育に関する社会史的研究
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22530813
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小玉 亮子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (50221958)
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Keywords | ヴァイマル期 / 家庭教育 / 消費社会 / 社会史 / 教育学 / ドイツ |
Research Abstract |
ヴァイマル時代において、脆弱な国家体制のもと独占資本主義が進行し、消費社会が進展した。本研究は、ヴァイマル時代において家庭教育がどのように展開し、どのような役割を担うことになったのか、1910年代から1930年代までの社会的・経済的変化、特に、消費社会の進展との関係から、明らかにすることを目的としている。その際、消費社会の進展と家族の関係について、当時の雑誌媒体における商業広告といったコマーシャリズムの諸事象に注目し、この時代の家庭教育の展開を明らかにすることを目的としている。 平成22年度においては、近代家族という私的領域と近代国家という公的領域とは別の第三の領域のもった意味を考察する論文をまとめた(「近代ドイツにおける家族と国家、そして第三項」『日本の教育史学』)。私的なものでもなく、公的なものでもなく、その中間領域について、検討することが教育学に求められていることを、近代ドイツを中心に明らかにした。加えて、教育と家族の関係を近代的子ども観をめぐる議論を中心に、あらためてまとめることをおこなった(「<教育と家族>研究の展開」『家族社会学研究』)。さらに、近代家族については、現代日本において親子関係において問題化されることを分析し、近代家族の理論的課題を明らかにした(共著『現代の親子問題』)。こういった近代家族にかんする理論的作業を進めるなかで、近代家族と第三の領域である消費社会という空間が子どもの生活や成長にとって持つ意味を検討する作業をおこなった。 さらに、8月にフランクフルトとベルリンを訪問し、家族や幼児教育等を扱った雑誌の調査をおこなった。ヴァイマル期に刊行された家族に関する雑誌(『多子家族全国連盟機関誌』)のほか、戦後の家族雑誌『助言者』も見みて、そこでのヴァイマル期への回顧のなかで、ヴァイマル期がどのようにとらえられているのか、ヴァイマル期がもつ意味を検討することができた。 23年度は、これらの資料の分析をさらに進め、消費社会論の分析をさらに深めていく予定である。
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Research Products
(3 results)