2011 Fiscal Year Annual Research Report
「協同的な学びづくり」の指導力を定着させる授業診断指標の開発
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22530814
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
原田 信之 岐阜大学, 教育学研究科, 准教授 (20345771)
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Keywords | 協同学習(協働学習) / グループ学習 / 授業評価 / コンピテンシー / 教師教育 |
Research Abstract |
本研究は、国内外に蓄積されたグループ学習や協同学習の授業(学習)評価規準を抽出・類型化し、確かな診断指標に基づく信頼される評価として、教師の授業力の客観的判定と力量に応じた改善を促し、それに有効に働く授業診断指標・評価シートの開発を目的とする。これは、各学校における研修会や相互評価の機会等を通じ、教師の自律的な取組として継続的な指導力の向上が図れるようにするツールでもある。(1)昨年度の調査により収集した協同学習用の授業診断指標のうち、K-T-D(コンラート・トラウプ診断)指標など3つを有力な指標として特定した。これら有力な指標の特徴は、互恵的な協力関係の構築を意図する協同学習において、構成員のグループ学習への「参加」の内実こそがグループ活動の質を規定すると考えられているところにある。(2)この「参加状況」を鋭く問いかけ、授業者が踏まえるべき定型的手続き(指導方法)を可視化し、出現する複雑な集団事態に対して教師がとった手続きの意味や根拠の検討するための「授業観察評価シート」として、その必要条件を満たしうる有力な指標や規準項目を試案として特定した。(3)また、グループの構成員が協同学習の満足度を自己評価するOPPA(協同学習満足度調査)により、子どもの認識変容に影響を及ぼす教師の指導行動と協同学習に対する子どもの認識カテゴリーとの親和性を確かめ、その結果に基づきどのような教師の働きかけが有効かについても考察した。協同的なグループ探究を通し、共生や連帯をめざして新たな公共性を構築していくという意味において、相互協力関係の内実に迫る自律した「参加」行動への指導の質が問われることになるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が目指す「授業診断・評価シート」を開発する上で、有力な授業診断指標を抽出したことに加え、協同学習に対する教師の指導行動と子どもの認識カテゴリーとの親和性をOPPAにより確かめ、指標枠や規準項目をほぼ特定できたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
「協同的な学びづくり」のための指導力診断の視点枠、評価規準の文章表現や水準等が明確でありかつ精緻なものである一方、研修等に活用されるように汎用性の高い授業診断・評価シートとして開発を進めること。これとともにこのシートの活用手引きを作成し、実用性を高めること。
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