2010 Fiscal Year Annual Research Report
異文化をつないだ日・米の支援者たち-朝鮮人女子留学生への支援の形態に着目して
Project/Area Number |
22530815
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
太田 孝子 岐阜大学, 留学生センター, 教授 (00293580)
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Keywords | 異文化交流 / 留学生支援 / 内鮮融和 |
Research Abstract |
日本人支援者が、朝鮮からの女子留学生に対して行った支援の形態に焦点を当てて文献調査・資料収集を行った結果、以下の研究実績を得た。 1. 柳原吉兵衛(大和川染工所創業者、内鮮協和会結成)が会長を務める「李王家御慶事記念会」が、趣意書に従って実施した朝鮮の女子高等普通学校や高等女学校の優等卒業生への表彰は、1920年~42年までに1,048人に達する。さらに、その内の80余人に対しては、奈良女子高等師範学校等への入学を支援し奨学金を提供、日常生活に関する種々の援助も行った。支援の内実は、(1)内鮮融和精神の注入、(2)社会名望家(朝鮮総督、県知事、皇室や朝鮮王室など)との接触による留学生への精神指導であったことが判明した。 2. 関屋貞三郎(朝鮮総督府内務部学務部長)に関しては、国会図書館憲政資料室にある「関屋貞三郎関連資料」の調査を7割がた終了し、ほぼ全体像を把握した。妻依子は女子留学生のための寄宿舎「鴻喜寮」(1940年、李王妃方子によって渋谷区の李王職長官邸に創設)の寮母として、茶道、習字等日本文化に関するプログラムを種々用意し、寮生のその後の歩みにも影響を与えた。 3. 枡富安左衛門(朝鮮で果樹園を経営、私塾「興徳学堂」、私学「吾山高等学堂」を創設して朝鮮人学生を教育)の妻照子は、「鴻喜寮」で短歌を教え、孫戸妊(多くの歌集を出版し、1998年1月には宮中歌会始に招かれた)等の歌人を育て、内鮮一体政策の具に終わらない支援を行った。
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Research Products
(2 results)