2011 Fiscal Year Annual Research Report
異文化をつないだ日・米の支援者たち-朝鮮人女子留学生への支援の形態に着目して
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22530815
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
太田 孝子 岐阜大学, 留学生センター, 教授 (00293580)
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Keywords | 異文化交流 / 留学生支援 / 内鮮融和 |
Research Abstract |
1.朝鮮から内地に留学した女子学生のために創設された東京YWCA「朝鮮女子学生寄宿舎」に関する文献・資料収集を行ない、これまでほとんど知られていなかった「朝鮮女子学生寄宿舎」の概要を把握することができた。その概要は以下のとおりである。 (1)1939年3月、基督教女子青年会日本同盟朝鮮聯合会から在東京朝鮮人女学生のための寄宿舎設立の要望が寄せられたが、寄宿舎難、募集時期等の問題により、1年間の準備期間を設けた上で開設を目指すことに決定。 (2)1940年3月、朝鮮女子学生寄宿舎開始を東京YWCA機関誌『女子青年界』4月号で発表。場所は牛込区納戸町、寮生36名、費用は25円(舎費7円、食費15円、雑費3円)で発足した。舎母には伝道のため内地に来ていた金徳栄が、舎監には青山学院神学部出身の李温順が就任。11月より、河合時尾が朝鮮女子学生寄宿舎監督及び職員アパート監督を兼任した。寮の方針は「基督教の精神により規律正しい共同生活を営み、社会人としての良き人格教育を施すこと」であった。 (3)1945年4月の空襲で、寄宿舎焼失。当時の舎監は朴貞子(他家族4人も同居)、寮生32人。15人は直後に朝鮮に帰國したが、17人は近くにあった朝鮮の男子寮を兼ねた崇徳教会で避難生活を送った。 II.昨年に引き続き、関屋貞三郎に関しては国会図書館憲政資料室にある「関履貞三郎関連資料」の調査を終了、他に収集した資料も分析し、朝鮮総督府内務部学務部長として朝鮮の教育制度・政策への関与の実態、発言内容等を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年11月30日~12月1日に「岐阜大学留学生センター15周年記念事業」を実施したため、実行委員として企画・諸準備・当日の発表・司会・交流協定校からの来賓との交流等々に時間を取られ、調査・研究のための時間を確保することが難しかった。特に、アメリカで日本人女子留学生を支援したメアリ・H・モリスと「モリス奨学金」に関する資料の読解・分析が遅れている。(資料収集はおおむね順調に進展している。)
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Strategy for Future Research Activity |
1)収集した資料により、新たに判明した「朝鮮女子学生寄宿舎」に関与した日本側の人物(特に当時の東京YWCA総幹事加藤タカ、朝鮮部松岡久子山田多嘉子)に関する調査を実施する。 2)アメリカへ留学した日本人女性を支援した人々に関する文献の読解・分析を行う。特に、「モリス奨学金」と奨学金受給者を選考した「フィラデルフィア委員会」に関する調査に焦点を当てる。 3)上記の調査により、アメリカ留学から帰国した日本人女性と東京YWCAの関係に関する文献調査を行う。
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Research Products
(1 results)