2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における中学校・高等女学校の学校文化とジェンダー
Project/Area Number |
22530816
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小山 静子 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (40225595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 絵里香 京都大学, 文学研究科, 助教 (50536589)
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Keywords | 中学校 / 高等女学校 / 学校文化 / ジェンダー |
Research Abstract |
今年度行った研究は大きくわけて2つであり、1つは、制度史的な観点から中学校と高等女学校を比較研究すること、もう1つは、学校文化という観点から中学生と高等女学生にとっての文芸の意味を考察することである。 前者に関していえば、1920年前後には中等教育機関への進学率が急増し、それにともなって中等教育の意味づけや性格が変化していくが、その過程でどのような中等教育改革論議が行われたのか検討した。その結果、とりわけ中学校教育が活発に議論の俎上にあがり、高等女学校のあり方や良妻賢母理念を意識しながら、中学校の修業年限や教育内容をめぐって論議が行われ、「男らしさ」のありようも青年心理の視点から議論されていったことが明らかになった。 後者に関していえば、中学生・高等女学生が少年少女雑誌に文芸作品を投稿するという行動にはどのような意味があったのか、また少年少女雑誌の編集者がそのことをどのようにとらえていたのか、ということに関して考察を行った。その結果、1900~1910年代、文芸作品が雑誌に掲載されることは男女ともに非常に名誉なこととしてとらえられていたことがわかったが、女子の場合は名誉以上に、投稿仲間同士の交際に価値が見出されていたことが明らかになった。一方、編集者は文芸、なかでも特に叙述するテーマと文体を、絶えず「少年/少女らしさ」と結び付けて解釈していることが明らかとなった。
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