2011 Fiscal Year Annual Research Report
ライフコースアプローチに基づく若い教師の発達サポートシステム構築のための基礎研究
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22530831
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山崎 準二 東洋大学, 文学部, 教授 (50144051)
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Keywords | 若い教師 / 発達サポート / ライフコース |
Research Abstract |
研究代表者〔山崎〕は、これまで、静岡大学教育学部卒業生で主に静岡県下の小・中学校に勤務する教師を11の卒業コーホート(Graduate Cohort:以下ccと略)に編成し、その中から年齢・性の異なる28名を抽出し、彼(女)らの「教師の発達と力量形成」に関するライフコース・インタビューを実施してきた。今年度の重点課題として取り組んだ調査は、その延長線上にあるインタビュー調査であるが、今回は新たに2008年~2010年3月に卒業し入職していった初任期教師たち(第12GC)を調査対象とし、実施したインタビュー調査(2011年8月調査実施)である。調査に協力していただいた静岡大学の菅野文彦氏及び望月耕太氏とともに、分析作業を行った。なお、静岡大学の菅野文彦氏及び望月耕太氏は、研究初年度より協力の許可をいただいており、質問紙調査結果報告の論文も共同で作成してきている。 インタビュー調査に関して、新しく教育界に参入してきた若い教師たちの特徴としては、(1)新任期の困難さの要因として、子どもへの対応や指導技術の未熟さよりも、様々な要求を突き付けてくる保護者たちへの対応と保護者・同僚と人間関係を取り結んでいくために必要な一般的能力の不足があること、(2)多忙化が進む職場の中で、若い教師の困難さを支えていく同僚教師間の協働性が希薄になってきていること、そして(3)その中で精神的にまいってしまう若い教師が少なからず存在していること、などが指摘できる。 今後の研究作業として、(1)H23年度実施したインタビュー調査の継続調査を行う必要があること、(2)研究最終年度として、アンケート調査とインタビュー調査の両結果の突き合わせによる分析とそれに基づく発達サポートシステムの構想を行い試論的に提起することである。 なお、H23年度に実施したインタビュー調査の取りまとめに関しては、もう1度の補充調査が必要であるとの認識から、今年度の論文等による発表は延期し、来年度とすることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H22年度実施の質問紙調査は比較的順調に進み、基礎分析報告も紀要等に3本に分けて報告することができた。しかし、H23年度実施のインタビュー調査は対象者の協力が余り得られず少数に終わった。しかし、内容的には豊かな聞き取りができたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度はさらに補充インタビュー調査を行うと同時に、対象者も増やし実施していきたい。また、研究の最終年度にあたるため、これまでの質問紙調査とインタビュー調査のデータを再整理し、総合的に分析し、発達サポートシステム構築のための基本観点を提起していきたい。
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