2011 Fiscal Year Annual Research Report
旧制中学校および旧制高等学校の寄宿舎自治活動と校友会の成立と変遷
Project/Area Number |
22530837
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
冨岡 勝 近畿大学, 教職教育部, 准教授 (50303798)
|
Keywords | 寄宿舎 / 自治 / 校友会 / 旧制中学校 / 旧制高等学校 |
Research Abstract |
本研究は、旧制中学校-旧制高等学校において校友会や寄宿舎自治にみられる生徒自治活動が、どのような事情で成立し、変遷していったのか、そして生徒たちにとってどのような意味があったのかを解明することを目的に、旧制中学校・旧制高等学校の寄宿舎・校友会について調査を進めている。 平成23年度の研究では、全国の旧制高等学校の寄宿舎・校友会の状況については、文献調査を終え大まかな動向をつかんだ上で現地調査に行く計画を立てていたところ、第一高等中学校の寄宿舎・校友会設置について鍵となる第一高等中学校長木下広次に関する新史料が熊本県立図書館と熊本県玉名市歴史博物館に所蔵されていることがわかったため、急遽計画を変更し、出張調査としては、この2機関への調査を中心に実施した。この2機関への調査を通じて、木下がフランス留学中にフランス社会をどのように観察したのか、それが寄宿舎や校友会とどのように関係しているのか、という生徒自治活動への外国の影響に関する新しい重要な手がかりが得られた。現在、これを分析している最中であるが、まもなく論文として公表していく予定である。他の高等中学校については来年度、必要な調査を実施する。 また、全国の旧制中学校寄宿舎と校友会については、和歌山県、佐賀県、岐阜県の県立図書館に所蔵されている校友会雑誌を中心に調査した。校友会雑誌には、在学生徒の記事や活動記録、卒業生の回想文などが収録されており、校友会や寄宿舎の活動内容・組織の変遷についてわかるだけでなく、個人別事例の手がかりにもなりえる。この意味で、第1年目の調査(旧制中学校の寄宿舎と校友会の状況)を補完するとともに、第3年目・第4年目の調査(寄宿舎・校友会の活動内容などの変遷と個人別事例調査)の先取りとして実施することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に書いたように、一部、調査計画を変更したが、次年度の調査を先取りしている部分もあるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初の予定どおり、寄宿舎と校友会の活動内容・組織の変遷に関する事例研究を実施していく。また、第一高等中学校以外の旧制高等学校の寄宿舎・校友会についての調査の残りも実施する。
|