2011 Fiscal Year Annual Research Report
小学校教員の力量形成に関する理論的・実証的研究:力量の明示的・暗黙的側面を射程に
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22530843
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Research Institution | Ryukoku University Faculty of Junior College |
Principal Investigator |
森 久佳 龍谷大学短期大学部, 准教授 (00413287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 希 高知大学, 教育研究部・人文社会科学系, 講師 (40506713)
高谷 哲也 鹿児島大学, 教育学部, 講師 (00464595)
廣瀬 真琴 鹿児島大学, 教育学部, 講師 (70530913)
深見 俊崇 島根大学, 教育学部, 講師 (80510502)
宮橋 小百合 四国学院大学, 総合教育研究センター, 助教 (80461375)
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Keywords | 教育学 / 小学校教員 / 力量形成 |
Research Abstract |
2011年度は、教員の力量形成に関する国内外の文献や資料を収集・分析し、その知見を基に、昨年度実施した予備調査に関する研究成果の発表を行った。具体的には、以下の通りである。 (1)研究代表者及び同分担者が集い、研究目的や研究計画を再確認した(5月)。 (2)2010年度に実施した予備調査に関する研究成果を日本教師教育学会で発表するための検討作業を行った。それと同時に、本調査の実施に向けた研究活動計画を策定した(6~8月)。 (3)日本教師教育学会(於:福井大学)にて、予備調査の分析・検討を基にした研究成果の発表を行った(9月)。発表の目的は、教育実習経験後の教員志望学生が、教職という職業をどのように認識しているかをイメージマップの活用と分析を通して明らかにすることであり、以下の知見を成果として発表した。それは、学生が、(1)自らの経験の解釈をベースに、教育方法に関する能力、教師として基本的な資質・能力、実践的な能力、の3つを重視していたこと、(2)その中核には、子どもとの関係性を重視する信念が存在していたこと、(3)教師と子どもが互いに相互作用していくことで、両者の成長が生まれていくという共鳴的な教職観を抱いていたこと、である。また、この研究成果の特色として、以下の点を示した。それは、(1)学生自身による新たな見解や知見の創出といった営みが見られたこと、(2)言葉の意味や概念のとらえ方などが学生個々で異なるという事実に目を向ける必要性を提示できたこと、(3)教育・研究方法論としての発展可能性を提示できたこと、である。そして、これらの成果を論文としてまとめた。 (4)日本教育工学会研究集会(於:島根大学)にて、予備調査の分析・検討を基にした研究成果の発表を行った(10月)。発表の目的は、授業,特別活動や学級経営など,教師に関する仕事に関して教員志望学生が抱く「教職観」を、「教師の仕事」に関するイメージマップを基にしたインタビュー調査を実施することで明らかにすることであり、以下の知見を成果として発表した。それは、(1)教員志望学生の実践的知識は、複合性・事例的・個人的・状況的・暗黙知、を踏まえている点で特徴的であること、(2)学生自らが生徒として教職に就く前からある程度の知識が基盤となっていること、である。また、この研究成果の特色として、以下の点を示した。それは、(1)過去の経験から入学時から卒業時だけを対象にスタンダードを設定することは困難であること、(2)過去の体験、学校外の体験など総合的なものとして教職観が構築されていること、である。そして、これらの成果を論文としてまとめた (5)本調査の実施計画の策定と2011年度の研究の総括を行った(10~3月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、教員志望学生に関する調査は前段階のプレ調査として位置づけており、その成果を発表する予定ではなかった。しかし、得られた知見は発表する価値のあるものだということがメンバー間で確認されたため、その内容を学会等で発表し、それらの取り組みによって、現職の教員に対する調査計画をより一層充実させることができた。ただし、現職教員に関する調査を実施するにあたっては、当初の予定よりも少し時間や手間等がかかってしまった。そのため、全体的な進み具合としては、可もなく不可もなくということで、順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現職教員へのインタビュー調査の実施とその成果の発表が具体的な取り組みとなる。インタビュー調査は、Aグループ(*高谷・広瀬・森)とBグループ(*島田・深見・宮橋)(*印はグループリーダー)の2グループに分かれて、小学校教諭を対象としたインタビューを実施し、各グループは、若手・中堅・ベテラン世代から1名ずつ、1人につき1回2~3時間程度のインビューを行う、というものである。また、成果の発表は、2,3の学会にて発表を行う予定である。問題点とは現時点では特にないと思われる。
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Research Products
(15 results)