2010 Fiscal Year Annual Research Report
日米における新自由主義教育改革の教育法的および教育制度論的研究
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22530853
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
世取山 洋介 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90262419)
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Keywords | 新自由主義教育改革 / 東京都 |
Research Abstract |
本研究は、日本と米国で進行している新自由主義教育改革を教育法的および教育制度論的に総合的に分析することを目的としている。(1)新自由主義教育改革の目的である普通教育の終了年齢の15歳への切り下げを内容とする学校体系の改革、ならびに、その手段となっている(2)教育行政の組織と権限の改革、(3)教育財政の機能の改革、そして、これらの改革の結果浮上する学校体系、教育行財政そして政府間関係の全体を、立憲主義のもとにおける法規範の機能、教育人権(教育における自由と平等)および教育行財政制度原理という3つの視点から分析を加えることをその内容としている。 4年間の研究機関の初年度に当たる本年度は、大きく分けて二つの作業を進展させた。第1は、新自由主義教育改革の目的と仮定していた普通教育の15歳への切り下げによる学校体系の改革に焦点を合わせ、日本においてそのような改革が先行して実施されている東京都を素材にして、高校教育の教育課程の変容、その背後にある労働力政策の変容、改革の所期の目標の達成の有無または程度を精査し、その成果を公表した。新自由主義教育改革が、<新>多元主義的能力主義を導入しようとしながら、下からの進学要求に屈する形で、<新>一元的能力主義とでもいうべき政策へと変容を遂げていることを明らかにした。第2は、教育を含めた新自由主義構造改革の子どもの権利に基づく評価にかかわって、国連子どもの権利委員会による第3回日本政府報告審査の結果示された第3回最終所見を、<新自由主義改革対人権論>という枠組みのもとに分析したことである。政策の構造を枠づけるという人権概念の新しい機能が浮かび上がってきている。
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Research Products
(4 results)