2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22530856
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
荒井 文昭 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (40244404)
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Keywords | 教育政治 / 教育管理職 / 地方公権 / 人事行政 |
Research Abstract |
分権改革下における教育管理職人事行政の研究を愛知県三河地域を事例としてすすめるために、2011年度は、この地域における教育管理職人事行政をめぐる基本的な構造が形成されたと考えられる1950年代に注目しながら、その資料の収集と分析をおこなった。 その結果、愛知県三河地域における教育委員会-校長会-教員組合の三者関係が1950年代にかけて緊張関係から協調関係へと転換していくいくつかの契機が存在してきたことが浮かび上がってきている。 たとえば、1953年8月9日には、愛知作文教育者協議会(後藤金好常任委員長)によって準備された第1回作文教育研究大会が岡崎市内で開催されたが、この研究大会はその後に継続されることなく翌年には立ち消えてになっていた。この背景には、戦後直後から生じていた教員組合の路線をめぐる対立に深く関与した校長会の存在がかかわっていることが現在のところ調査から浮かび上がってきている。すなわち、愛知県三河地域においては戦後初期の頃から、同窓会を母体とする教育専門職集団が校長会・教育委員会と教員組合をつなぐ機能をはたすことによって、教育をめぐる紛争を鎮静化させながら学校運営をおこなっていく仕組みが形成されてきたことが浮かび上がってきた。 こうした三河地域における教育政治の土台となっている教育管理職人事行政のあり方は教育行政の内部で処理される側面をもつものであり、首長権限強化による構造改革政策下において今後どのような影響を受けることになるのか否かを検討していくためにも、最終年度となる2012年度においてはその基本構造が形成されてきた1950年代における経過について調査研究をまとめていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査の進展により、当初に計画していた人事統計資料分析よりも歴史資料分析に比重が移っているものの、研究の目的達成はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度となる今年は、愛知県西三河教育事務所管内における岡崎市とその周辺自治体に調査対象を絞り込みながら調査と報告活動をおこない、これまでの研究をまとめていく。
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Research Products
(2 results)