2011 Fiscal Year Annual Research Report
中間支援組織・施設の学習構造と社会教育ガバナンスの変容に関する研究
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22530868
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
櫻井 常矢 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (40363775)
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Keywords | 社会教育学 / 中間支援 / ガバナンス / NPO |
Research Abstract |
本研究では、新たな中間支援組織・施設が創造する学習の構造と機能を分析しながら、それによって現れる自治体・地域の社会教育ガバナンスの変容をめぐる可能性と課題について明らかにすることを目的としている。平成23年度は、前年度に引き続き、日本における地域コミュニティ支援型中間支援組織・施設の機能について、もりおか市民活動支援室(岩手県盛岡市)をはじめ各地の事例調査を継続している。町内会向けの支援メニューを揃えたホームページ開設や地縁組織支援のためのプラットフォーム形成など新たな取り組みがみられた。本年度は同時に、自治組織の育成・支援や公民館等の地域拠点施設への人員配置、並びにそれらへのサポートを体系的に進める自治体について調査を進めている。公民館等の社会教育施設については、首長部局移管や指定管理者制度への移行等の再編が各地で進むとともに、地域自治(首長部局)と社会教育(教育行政)とを別物と捉えることによって事態がより複雑なものとなっている実態がある。問題となるのは、地域における社会教育(事業)がどのように実現きれるのかである。本年度の調査では、公民館の首長部局移管(コミュニティセンター化)と指定管理者(地域コミュニティ協議会)運営への移行のケース(香川県高松市)、指定管理者となる自治組織の事務局員を行政によって配置しているケース(山口県山口市)など各地の事例を検討してきている。いずれも地域自治組織が指定管理者となり、施設における社会教育を含む各種の事業を実施しているわけだが、いくつかの可能性と課題が明らかとなっている。また、これらの施設運営や地域自治組織の支援を総合的に展開しようとする中間支援施設にも、行政との連携をめぐる課題や社会教育・生涯学習への理解の違いがあるなどの課題が指摘できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的・計画に照らし、現地調査を継続的に進めている。関係機関、職員・スタッフ等へのヒアリングからは、仮設的に提示できなかった事実も明らかとなっている。他方で、東日本大震災の影響から当初予定の対象団体への調査を進めることができなかった。関連して、論文等としてのまとめ・情報発信の作業が遅れているため、これらは平成24年度の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災の影響等から十分な調査が実施できなかった事例を中心に現地調査を継続実施する。また、平成24度は本研究の最終年度となることから、事例調査への分析を進め、新たな中間支援組織・施設が創造する学習の構造と機能、そしてそれによって現れる自治体・地域の社会教育ガバナンスの変容をめぐる可能性と課題について明らかにしていく。その成果については、学会発表や論文発表を進め広く公開することに務める。
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