2010 Fiscal Year Annual Research Report
小学校の「アイヌ民族の歴史と文化」学習のための授業開発
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22530872
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Research Institution | Tomakomai Komazawa University |
Principal Investigator |
伊藤 勝久 苫小牧駒澤大学, 国際文化学部, 准教授 (90364299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 路明 苫小牧駒澤大学, 国際文化学部, 教授 (50445102)
蓑島 栄紀 苫小牧駒澤大学, 国際文化学部, 准教授 (70337103)
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Keywords | 教育学 / 学校教育 / 授業開発 / アイヌ教育 / 先住民 |
Research Abstract |
平成22年度は、主として学校現場および教育行政における現状把握のため道内小学校および教育委員会での聞き取り調査を志向し、近隣小学校、自治体の他、帯広・白糠方面での調査を行っている。小学校においては「アイヌ民族の歴史と文化」に関わる授業に関して、(1)学年、(2)教科(教科外活動)、(3)単元(含む配当時間と構成)、(4)本時の構成(内容と展開)、(5)授業内容(「アイヌ民族の歴史と文化」に関わる知識・技能等)を中心に聞き取りを行った。また、市町村教育委員会においては、「アイヌ民族の歴史と文化」に関する学習を所轄の学校で行うにあたっての、(1)基底カリキュラムの中での位置づけ、(2)教員の「アイヌ民族の歴史と文化」に関わる適切な知識・認識などの構築を支援するための研究会、研修会への取組み、(3)授業支援のための教材等の開発や購入、(4)授業支援のための人材の派遣等を中心に聞き取りを行なうとともに、資料の収集を行った。 なお、8月29日~9月6日に、カナダ東部の先住民による組織「シックスネーションズ」の人々(とくにモホークの人々)を訪れ、文化伝承や生態系保全の状況、子どもたち、若者たちと伝統文化のかかわりについて調査を行った。訪問した学校は、幼稚園、小学校、中学校までが一緒になっており、モホーク語による授業も行われ、小学生のころからモホーク語を話す子どももおり、今もなおモホーク文化が生活の中で生きていることを実感できる。学校内では随所にモホーク語の掲示やモホーク語・モホーク文化に関する教材があり、活用されていた。シックスネーションズにおいては、日常生活を含めた人々の活動の総体に、伝統文化が「息づいている」ことが強く実感され、アイヌ文化を取り巻く現状との落差も浮き彫りとなった。アイヌ文化の置かれた現状を少しずつ変えていくために、学校教育、ことに初等教育の持つ重要性を再確認することができた。
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