2011 Fiscal Year Annual Research Report
保育における子ども同士の同僚性の形成のためのカリキュラム構築
Project/Area Number |
22530882
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Research Institution | Shiraume Gakuen University |
Principal Investigator |
無藤 隆 白梅学園大学, 教授 (40111562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂上 史子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (60333704)
松嵜 洋子 埼玉学園大学, 人間学部・子ども発達学科, 教授 (90331511)
岸野 麻衣 福井大学, 教育学研究科, 准教授 (80452126)
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Keywords | 幼児教育 / 保育 |
Research Abstract |
本年度はこれまでの収集したデータの分析を詳細について進めるとともに、特に4歳・5歳のクラスについて新たにビデオやメモによる観察を行い、記録を作成し、質的な分析を行った。場面による独自の特徴を取り出して、同僚性と広くくくられるにしても、その場面や活動による違いを検討した。 1)協同的な学びの活動について、5歳児の1クラスの活動の大まかな始まりから終わりまでのビデオデータについて分析を行った。その活動のあり方が目標を立てることと実地に活動を進めることの相互的な規定関係を取り出した。 その関係の進展とともに、協同性が深まっていった。 2)4歳児クラスの人間関係の観察記録を分析して、クラスの親密性と絡み合った協同性の進展の仕方を分析した。クラスの仲良し関係と、協同するチームとしての関係と、個々の認識の成長との絡み合いとして、この時期の発達をとらえ、一つのクラスの子どもたちの関係の変容を詳細な観察によりとらえた。 3)制作活動場面について3歳児クラスその他を観察し、制作活動場面の子ども同士のやりとりと保育者の援助について分析を行った。制作活動等の具体的で多様な活動において、子ども同士の協同性と思考力がはぐくまれることを見いだした。 4)クラスでの発表場面の4・5歳の記録・分析を行った。発表場面では、楽しさの共有と想起による情動的なつながりを図っていた。子どもの達成や困ったことを共有し、不全感を補償するとともに、個々のこどもの活動を「みんな」の中に位置づけた。未来に向かうイメージを創出し、具体策を出し合っていた。 5)運動遊びプログラムを6園の4・5歳児クラスで実施し、その結果、取り組まなかったクラスと比べて、運動遊びとともに、当番活動や生活活動へ積極的に取り組む子どもが増加した。さらに、日常の遊びの幅が広がり、クラスのまとまりも見られるようになった。次第に協力し合う子どもの姿が見られたなどが保育者のヒアリングから明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はこれまでの収集したデータの分析を詳細について進めることと、特に4歳・5歳を中心に場面の特徴を取り出して、同僚性と広くくくられるにしても、その場面や活動による違いを検討することとした。 その中で、予定通り、すべての目的とする分析を進めることが出来た。1)協同的な学びの活動、2)協同性が成り立つ前提としてのクラスの親密性と絡み合った協同性のあり方、3)制作活動場面について、4)クラスでの発表場面、5)運動遊び、などを分析し、クラスとしての集団の活動での同僚性の多様な姿を検討出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りの研究を進める。最終年度である平成24年度においては、これまでの観察と記録の分析を元に、子ども同士の同僚性を巡り、年齢と場面によりどのような特徴的な姿と経過を示すかを叙述して、理論化を図りたい。そこでは、目的やルールや題材などの自覚化と、それを進行中の活動により変更し発展させることと、その中で協力し合う人間関係を構築することが、おそらく中心となると予想している。その事例による質的な検討を行いたい。
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Research Products
(11 results)