2011 Fiscal Year Annual Research Report
感情労働としての保育に関する研究-保育者としての成長と保育の質向上の観点から-
Project/Area Number |
22530892
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
太田 光洋 和洋女子大学, 人間・社会学系, 教授 (60248664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 信樹 中村学園大学短期大学, 幼児保育学科, 准教授 (60300456)
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Keywords | 感情労働 / 感情ワーク / 保育者の成長 / 新任保育者 / 管理職 / 保育の質 / 保育学 |
Research Abstract |
前年度に行った予備調査をもとに、幼稚園、保育所、地域子育て支援に従事する保育者、管理職、保育学生(実習生)を対象としたインタビュー調査、質問紙調査を実施した。インタビュー調査では、保育者の多くが同僚に対して保育及び保育と直接関係のないところでなんらかの感情ワークを行っており、それが職業遂行上の負担になっていると考えられた。特に保育者間や管理職との関係のあり方、勤務拘束時間などとの関連を指摘する保育者が多い。保育初任者の日誌記録やインタビューから、これらに問題を感じないケース、改善されたケースでは園内研修や管理職による同僚関係への言及、時間管理等によって改善が図られ、負担感が低減したという声が多い。しかし一方で、管理職による感情ワークへの言及は、当該管理職が子どもや保育、職場への日常的関与をどの程度行っているかに影響を受けている可能性がある。つまり、管理職が子どもや保育、職場への理解や関与が高ければ改善が図られやすいが、さもなければ改善がうまくいきにくいといえる。また、感情を意識し、対象化することによって保育全体の改善が図られると考えられるが、その視点やポイントをどこに置くかは管理職によって異なるが、それが保育の質に関連している可能性があることが示唆された。これらについては、質問紙による量的分析を待たなければならないが、質問紙調査は実施できたが集計段階にあって今後の分析によって明らかにする。 また、近年の研究動向から「感情労働」「感情ワーク」「表層演技・深層演技」等のタームについての再検討が必要と考えられ、今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属校変更にともなって、研究打ち合わせや調査依頼、インタビュー等を行う物理的距離が遠くなり、当初の予定よりも、質問紙調査の進行が若干遅れている。すでに実施した結果を整理し、分析を急いでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
感情労働という観点からの保育研究は始まったばかりであるが、多くの研究者が関心を寄せ始めており、研究交流を行いながら必要な学術的コンセンサスを作りつつ、研究課題に焦点を絞って調査、分析を進めていく。研究計画については、やや遅れはあるものの計画に沿って進めることができる見通しである。
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Research Products
(1 results)