2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530894
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高妻 紳二郎 福岡大学, 人文学部, 教授 (20205339)
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Keywords | 学校評価 / 第三者評価 / 自己評価 / 自己評価票(SEF) / SIP |
Research Abstract |
イギリスの学校評価に関して2005年を境とする新旧システムの比較的観点に立てば、以下のように整理できる。(1)6年に1回の査察に変えて、3年に1回の査察を義務付けたこと。これは保護者が当該学校に関する現実に即した、最新の報告書を読むことを可能にするためである。(2)学校査察実施は直前にしか知らされないという変化。これは、学校側に長期にわたる無用な緊張と準備を強いることなく、ありのままの学校の姿をみるためである。スナップショット形式の学校査察導入により、網羅的評価を脱して重点的な評価への質的転換を図ったのである。(3)学校評価プロセスそのものの信頼性を醸成すること。これは2日間の日程において児童生徒とのコンタクトの機会をふんだんに設け、関係者の意見を幅広く収集することを重視したためである。査察を終えた時点での評価を4段階に分け、査察チームから児童生徒への手紙も渡される。次回の査察に期待を持たせ、児童生徒にも緊張感をなくす試みである。 概してイギリスにおける新査察制度は概ね順調な滑り出しを見せている。査察に伴うストレスやコストのロスが軽減されて視学官からのフィードバックも好評である。このように、スナップショットモデルを導入したことによる成果もみられるが、今後は、1名の視学官が丸1日自己評価報告書を分析するために学校に滞在したり、保護者への継続的な情報提供と、すでに高い評価を受けている学校をさらに高めるための改善を加えていく指針もみられる。 あわせて、低く評価された学校へのLAを巻き込んだ支援にとどまらず、評価が高く他校をリードする学校の効果的活用の可能性も検討されるなど、政権交代後も引き続いて多様な取組の芽が看取される。
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