2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22530894
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高妻 紳二郎 福岡大学, 人文学部, 教授 (20205339)
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Keywords | 学校評価 / 第三者評価 / 自己評価 / 学校関係者評価 / OFSTED / 学校査察 |
Research Abstract |
イギリスの学校第三者評価を実際に手がける教育水準局(Ofsted)は2010年の政権交代後も変わらず教育省やその他関係省から独立した取組を展開している。より洗練された学校評価システムの構築が目指されており、具体的には、直近の学校査察で3.十分(satisfactory)の評価だった学校は少なくとも3年に一度の学校評価を受けること、2.良い(good)の評価を受けた学校はおおむね5年に1度の学校評価を受けることになる。2011年教育法により2012年1月から、1.すばらしい(outstanding)の評価を受けた学校は定期的な学校査察を免除されることになった。ただし、全ての評価が免除されるわけではなく、簡便な評価:当座評価(interim assessment)を受けることとなった。 学校評価システム自体には変化が見られないが、アカデミーやフリースクールの出現や増加などが最近の動向であり、恵まれない家庭や地域における幼児教育の手当てが喫緊の課題であるとされている。公立学校も内実の多様化が進行していて少数民族の子、英語を母語としない家庭の子、SEN(special education needs:特別な支援を必要)の子が増加しているため、これまでの査察方針に若干の修正を加え、学力テストの結果をあまり重視しなくなった傾向も看取される。 わが国の事例においても学校評価システムが有効に機能する要件として、教育委員会や学校当事者間において学校経営要因(地域的事情等)を的確に把握する必要があること、個別の学校事情に応じて学校管理職のリーダーシップ力とマネジメント力を発揮する場面を使い分けるという視点を持つということ、そしてその効果をさらに発揮させるためには、例えば指導主事によるPDCAサイクルへの関わりが効果的であること、などが示唆された。学校の第三者評価に関しては、イギリス型ではなく、評価者に対して「改善策の助言や示唆」に寄せる期待が大きく、報告書に示された指摘や助言、示唆的な文言が学校にとって有効なものとして受容されていることが看取される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外の学校評価に基づいた学校改善事例の収集が順調に進んでいる。学校関係者評価や第三者評価を通して、学校管理者(チーム)が組織的にPDCAサイクルを回している事例を整理しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
学校の自己評価、学校関係者評価そして第三者評価を基盤とする学校改善の実例を継続的に分析し、評価サイクルに応じた自己点検・自己評価の取組の視点を明らかにするために、過去2年に引き続き現地調査を行う。そして学校改善計画に即した学校改善の効果について検証し、報告書にまとめる。
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