2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランス・アニマトゥール(社会教育関係職員)の専門職性とアイデンティティの形成
Project/Area Number |
22530895
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
岩橋 恵子 志學館大学, 法学部, 教授 (70248649)
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Keywords | フランス / アニマトゥール / 社会教育関係職員 / 専門職性 / 国家資格・免状 / 養成課程 |
Research Abstract |
本研究の目的は、フランスのアニマトゥール(animateur社会教育関係職員)の専門職性とアイデンティティ形成の今日的到達点とその課題を明らかにすることにある。本年度は、近年進行しているアニマトゥールの資格・養成改革の現状とその性格の分析を中心に行い、次の点を明らかにした。 1)アニマトゥールの資格の多くは青少年・スポーツ・社会的結束省管轄の国家資格であり、大きくは職業資格と非職業資格がある。両資格とも取得のための養成は省が認可する民間養成団体で行われるが、非職業資格とその養成は民間養成団体の自律性が強い伝統的民衆教育の闘士的性格を有するのに対し、職業資格のそれは国家政策によって推進される近代的職業形成のプロセスを示している。 2)近年最も改革が進められているのは、職業資格とその取得のための養成である。その特徴は、(1)雇用の発展との連動を追求する免状の創設(2)グローバル化への対応(3)養成課程体系の再構成、とりわけ養成課程の専門化(specialisation)と個別化(individuelisation)という点にみられる。改革の進展により、資格・養成は、一定の質を確保しながら取得しやすく、かつ現場で力が発揮しやすい環境を整えてきている。だが他方で、技術の訓練や細分化されたそれぞれの能力に完結されやすく、アニマトゥールの専門職性の豊かさを希薄化させるリスクを負っている。3)民間養成機関とは別に、高等教育機関(IUT)においても、アニマトゥール養成の初期・継続教育改革が進められてきており、その職業資格取得の多様化(3つのレベルの大学資格や国家資格)が進んでいる。 複雑で多様化するアニマトゥールの資格・養成(改革)の中で、アニマトゥールの専門職性とアイデンティティの形成が一層鋭く問われねばならない状況が生じている。
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