2011 Fiscal Year Annual Research Report
高校就職指導の社会学的研究―高校による「企業の選抜」という視点から
Project/Area Number |
22530907
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 真夫 東京大学, 社会科学研究所, 助教 (60407749)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱中 淳子 大学入試センター, 研究開発部, 助教 (00361600)
|
Keywords | 教育学 / 社会学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高校の進路指導において職業斡旋が果たしている役割を従来の「実績関係」としてではなく、「生徒の選抜・企業の選抜」という新しい視点を導入しつつ解明することにある。長引く不況やグローバル化の進展等に伴い労働条件のよくない仕事が増える中で、なかなか進路が決まらない生徒に対し良好な就業機会を学校が選んで斡旋することは喫緊の課題であり、現在のキャリア教育が主眼とする職業観の醸成等とあわせて取り組む必要がある。平成23年度は、前年度からの調査票の検討の結果を踏まえ、高校3年生の進路状況や進路に関する活動および進路に対する意識などを尋ねる「高校3年生追跡パネル調査」を実施した。第1回目調査は2012年1月に実施し1348名から回答を得た。第2回目調査は、第1回目調査回答者に対して2012年3月中旬に実施し、823名から回答を得た(現在データクリーニングを行っており、調査結果についてはいずれも暫定値)。第1回目調査から第2回目調査の間に就職先を決定した者の進路に関する活動について、第2回目調査においても依然として進路先が未定である者と比較してみると、教員との進路相談の程度が第1回目調査時点と比べて同じかあるいは増えている者が多いという特徴がある。就職先への入職経路については学校推薦とそうでない者がほぼ同数で、第1回目調査時点で就職先を決定していた者と比較すると学校推薦の占める割合は低下しているが、就職先の状況については学校推薦の場合依然として正社員が中心となっており、引き続き学校が良好な就業機会の提供に努力している様子がうかがえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度における研究の中心をなす「高校3年生追跡パネル調査」については、いかに最終的な進路状況を把握するかが大きな課題であったが、インターネットによる調査を導入することで3月中旬に調査を実施することができ、最終状況に極めて近い情報を得ることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は当該年度に実施した「高校3年生追跡パネル調査」の分析を進めていくことになる。平成24年度は新規の調査は実施しない予定であるので、調査実施に伴う問題点は特に予想されないが、分析結果の解釈に資する情報を得るために、必要があれば高校教員など関係者への聞き取り調査を追加実施し、より詳細な情報の収集を行っていきたい。
|
Research Products
(3 results)