2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530909
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
中澤 智惠 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00272625)
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Keywords | ジェンダー / 教師-生徒関係 |
Research Abstract |
本研究は、義務教育段階の学校における教室内のジェンダー形成および教室環境を、日本とスウェーデンにおいて比較検討し、日本の男女平等教育の課題を明らかにすることを目的としている。平成22年度においては、(1)スウェーデンにおける「学校教育とジェンダー」研究を収集・検討、(2)スウェーデンの「ジェンダーと教育」研究者およびジェンダー教育者Genuspedagogigへのヒアリング、(3)調査協力校の開拓・調査依頼と打ち合わせを行った。 (1)「ジェンダーと教育」研究に関しては、スウェーデンにおいても「男の子」問題が焦点化されつつあることを把握しえた。同時に、教室観察に基づく研究もとりわけ博士論文で蓄積されている。 (2)ヒアリングにおいては、Genuspedagogikの養成および役割についてたずねた。スウェーデンでは、現職教員の継続教育として、大学において正規の単位・資格認定を伴うコースの形で、スキル・専門性向上のための様々な研修機会やプログラムが提供されている。そのなかで、Specialpedagogik(特別支援教育者)が学校において、諸課題はあるものの、専門職としての一定の位置づけを獲得しえたのに対して、Genuspedagogikの養成コースは数年の試行にとどまり、現在では停止してしまっている。とはいえ、養成されたGenuspedagogikは、自治体によっては教員対象の研修コーディネータとしての役割等を担っている。 しかしながらスウェーデンでは、積極的なジェンダー平等政策が推進され、それが国際的にみて高水準の達成度であると考えられており、学校において取り組むべき課題との認識がやや希薄である。FemininitiesやMasculinitiesの問題認識も弱い。そのため、学校でのジェンダー平等教育や教師のジェンダーバイアスへの取り組みは、スウェーデンにおいても困難な課題であることが示された。
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