2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530909
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
中澤 智惠 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00272625)
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Keywords | ジェンダー / スウェーデン / 教師-生徒関係 |
Research Abstract |
本研究は、義務教育段階の学校における教室内のジェンダー形成および教室環境を、日本とスウェーデンにおいて比較検討し、日本の男女平等教育の課題を明らかにすることを目的としている。 平成23年度においては、1)4月にイギリスのExeter大学で開催されたGender and Education Associationの研究大会に参加し、日本で行ってきた学校におけるジェンダ-秩序に関する研究成果とともに、本研究課題の中間報告を行った。さらに、イギリスを中心としながら欧米におけるジェンダー研究及び「ジェンダーと教育」研究の動向について、研究交流を深めた。 2)秋期には、スウェーデン(ノルショーピンおよびリンショーピン)において小・中学校での授業観察および教師への面接調査を実施した。 3)冬期には、スウェーデンの海外共同研究者3名が渡日し、東京都の小・中学校において1週間の授業観察を実施した。公立小学校2校、国公立中学校2校、私立女子中学校1校の計5校である。 4)上記2と3をふまえて、年度末に渡瑞し、観察結果のレポートを持ち寄り、分析討議を行った。 このなかで、スウェーデン研究者の目から、日本の女子児童・生徒のフェミニニティは、髪型や持ち物等においてスウェーデンよりもジェンダーバイアスが弱いと受け止められていた。教師主導型で、緻密に準備・計画された授業が多くを占めている日本の学校において、男女の違いがとらえにくいなか、教師が男女の違いを認識している点も興味深く受け止められた。また、クラスサイズが大きいなか、教師は非常によく児童生徒の個性を把握し、授業での指名等、男女が平等な機会を得られるよう配慮している点も見いだされた。スウェーデンの学校では、個別学習の占める割合が多く、教師の介入に限界があることと対照的である。以上、現状では印象論にとどまっているが、今後、討議を深める中で分析・考察を深めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外共同研究者の招聘について、予算上の制約があったものの、実施しえた。本研究課題以前より、問題意識を共有し、本務先の協定を活用し学術交流を進めていたことが要因の一つと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本研究課題を推進するために、海外共同研究者と観察結果の分析について討議する。さらに、スウェーデンでの学校での参与観察を引き続き実施する。問題点としては、学会での成果発表が開催日程上困難となる可能性がある。別の学会ないしは代替の発表機会を検討する。
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Research Products
(1 results)