2010 Fiscal Year Annual Research Report
戦後占領期における私立大学の経営行動に関する実証的研究
Project/Area Number |
22530913
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 彰浩 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (60193471)
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Keywords | 私立大学 / 大学経営 / 戦後占領期 / 高等教育 |
Research Abstract |
本年度は、(1)個別私大の経営行動に関わるデータベース作成と分析および(2)私大行動の環境要因としての政府の政策および進学者の動向に関する資料データ収集と分析、を実施した。 (1) については、主として、個別私大の組織構成、量的規模、および財務に関するデータを収集し、データベースを作成する作業をおこなった。具体的には、占領期の特徴を相対化するために若干長めの時期をとり、昭和10年~昭和30年のデータを収集・入力をすすめた。対象校は戦時期との連続性をみるため、敗戦時に大学であった27校とし、すでに20大学程度については量的規模データを中心に入力を完了している。ただし、授業料データに関して先行して収集をおこない、比較のため官公立大学や専門学校を含めてデータベースを作成し、分析結果を日本高等教育学会大会で報告している。 (2) については、(1)の作業と比較的同種のデータソースを用いることから、進学者の動向に関するデータの収集・入力を先行しておこなった。文部省発行の諸統計、各大学の沿革史や資料集、研究紀要とともに、当時の受験雑誌も重要なデータソースとして用いている。また進学者の動向を大きく左右する入学者選抜システムの状況についても、受験雑誌を主要なデータソースとして用いて情報を収集している。 以上の作業については、敗戦直後の時期については大学によっては十分な資料が残っておらず、必ずしも完全なデータベースができない状況にあるが、しかしこれまで戦時期から戦後占領期にかけて一貫した視点からのデータ収集や分析はなされておらず、こうした欠落状況の改善に本研究は大きく貢献するものと考える。
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