2011 Fiscal Year Annual Research Report
危機に瀕した「沖縄の低学力問題」解決のための追跡調査研究
Project/Area Number |
22530922
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
西本 裕輝 琉球大学, 大学教育センター, 准教授 (20301393)
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Keywords | 沖縄 / 低学力問題 / 学力 / 再生産論 / 高校生 |
Research Abstract |
本研究は、沖縄の高校生の低学力の要因を明らかにすることを目的とするものである。そのために県内外の進学校の高校生を対象とした学力調査を実施している。この学力調査は、高校1年生が3年生になるまでの3年間、追跡して行い、学力の変動も含めて分析することによって、例えば、1年生の時は学力が低いのに3年生になると急激に学力が上昇する生徒はどのような特徴を持っているのか、逆に1年生の時は学力が高いのに、学年が上がるにしたがって下降していく生徒はどのような特徴を持っているのか、ということが明らかにするためのものである。 三年計画の二年目にあたる23年度には、高校2年生の調査を実施した。調査を通して今のところわかってきたことは、沖縄の生徒で学力が徐々に向上していくのは、友人関係を大切にする生徒であるということである。県外の生徒で学力が向上する生徒は、生徒会活動や部活動、文化祭や体育祭にあまり熱心に関わらないという特徴を持っていた。それに対し、沖縄で学力が向上する生徒は、同様の特徴を持っている一方で、共に励まし合えるような良きライバルとしての友人を持っているという特徴を持っていた。 ここに、沖縄の高校生の学力を向上させるヒントがあるように思われる。こうした結果の一部は、9月に行われた日本教育社会学会において発表している。研究の三年目においては、このあたりに焦点をあて、さらに分析を深めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学力調査は当初予定していたように、一年目で高校1年生調査、二年目で高校2年生調査を実施している。また日本教育社会学会においても、途中経過ながら研究成果を発表している。よって本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年にあたるため、高校3年生調査を実施する。この調査により、1年生から3年生までの追跡調査が完了し、すべての調査データが揃う。例えば、学力の1年生から3年生にかけての変動が明らかになる。こうしたデータにより、3年間の総合的な分析が可能となる。
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Research Products
(1 results)