Research Abstract |
本研究の目的は,大学生を対象とした「大学生活適応プログラム」の開発である.このプログラムは,対象学生に自己評価の手法を教授することで,学生が自分の判断で自分にとって必要な行動を同定し実行できるようになることを意図する点に特徴がある. H22年度は,学生の抱える大学生活上の課題や問題を特定しニーズを明確にするための全国調査を実施した.H23年度はデータの分析を行い関連学会で報告した.この分析結果を踏まえ,4つの養成校(東京,埼玉,旭川,沖縄)で40名の学生に介入プログラムを実施した.また,別に学年進行に伴う変化を捉えるために,H22年度調査者を対象に同様の全国調査を行った. 《介入プログラムの概要》 各地とも1回90分全10回,10のテーマ(興味,役割,習慣,運動と処理技能,コミュニケーションと交流技能,遂行能力,個人的原因帰属,価値,環境,作業的生活)についての講義と演習. 初回と最終回に効果指標(候補)とした質問紙(OSA II,ソーシャル・サポート質問紙,大学生活不安尺度,心理的適応,学習特性に関する質問紙,学業意欲低下・授業意欲低下尺度,学業に対するリアリティショック尺度)を実施 《研究成果》 ・全国調査のデータ:OSA IIの結果は,大学1年生生にとって最も困難な日常生活上の課題が「自分の課題に集申する」であること(対象者の52%が問題を感じていた),さらに「生活している所をかたづける」「自分の能力を上手く発揮している」などが続き,40%以上の学生が問題を感じていた.またOSA IIと意欲尺度の相関から,日常生活に関する問題課題を多く抱える学生ほど,意欲が低く,学生生活への適応が不良であることが示唆された.これにより今後のプログラムで取り上げるべき内容が焦点化された. ・介入プログラムの効果については検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H22年度に全国調査によるニーズの把握,H23年度にプログラムの効果検証のための介入を開始した.H24年度末までに70名の介入データを集める予定であるが,現時点ですでに約40名を収集しており順調といえる.しかしながら,当初計画のランダム割り付けは,倫理的な問題や被験者募集が壁となり行えていない.
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