2011 Fiscal Year Annual Research Report
タイにおけるニューカマーの学校就学と支援ネットワークに関する研究
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22530924
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
野津 隆志 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (40218334)
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Keywords | 外国人児童 / ニューカマー / NGO / 支援ネットワーク |
Research Abstract |
研究課題1の「タイのニューカマー児童の学校就学の阻害要因を明らかにする」ために、タイ・ターク県で現地調査を行い、以下の2つの要因が重要であることを明らかにした。 1.学校要因:調査地(ターク県)では積極的な受け入れ校は限られている。特に都市部では親の拒否感情や学力低下への懸念から受け入れに拒否的である。政府の「外国人児童受け入れ規定」については周知されている。 2,家族要因:不法就労家族はタイ学校へ就学することで強制送還されることを恐れている。子どもを学校に長期間行かせるより、家事労働や日雇い労働をさせることを優先する価値観がある。 研究課題2の「ニューカマー教育のために学校内外の多様なアクターが作る支援ネットワークの重要性とその役割を解明する」ために、調査地で支援アクター相互関係を詳細に分析し、以下の点を明らかにした。 1.ターク県では国際NGO(ワールド・エデュケーションなど)、タイ行政(教育委員会)、タイ公立学校、ミャンマー自治組織(The Burmese Migrant Workkers Education Committee)間の連携ネットワークが急速に形成された。 2.ネットワーク形成を可能とした要因には、当事者組織それぞれが「連携への意欲」を持ち、「資源の相互提供」と「対面コミュニケーション」を行ったからである。さらに、国際NGOが「異文化コミュニケーション」を円滑にするために努力した。 3.ネットワーク形成の結果、新しい共有価値が生まれ、新規の連携プロジェクトが試みられていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本国内およびタイ在住の研究協力者と本研究にかかわる共同研究と調査を実施し、複数の調査地で調査を複数回実施した。そのことにより、現在「中間報告書」を作成しており、中間報告書にはタイのニューカマーの教育課題と支援ネットワークに関する網羅的な情報が記述できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、6月までに「中間報告書」を完成し、中間報告で課題となったテーマにそって2012年8月、2013年2月に現地調査を実施する。本年度の現地調査をふまえた研究内容を学術出版する計画である。 本研究は当初の計画では、ニューカマーの「学校就学」に焦点化する予定であったが、今までの調査から学校就学だけでなく「児童労働」、「人身取引」なども含めて研究することが必要となり、研究課題を若干の修正をした。 本研究はタイのみを対象国としているが、文献研究や現地調査により、韓国や台湾を含めた国際比較の視点も重要となり、最終的な考察ではタイだけに限定せず「アジアのニューカマーの教育支援」についても論究する予定である。
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