2011 Fiscal Year Annual Research Report
高校教育機会提供の構造の総合的解明――地域と設置主体に着目して
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22530931
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
香川 めい 立教大学, 社会学部, 助教 (00514176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 哲 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (20401268)
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Keywords | 教育政策 / 高校教育 / 教育機会 / 地域 |
Research Abstract |
周知のように戦後日本社会において教育は急激に拡大した。教育機会の供給という観点からこれをみたとき、この爆発的な教育拡大を可能にしたものは何だったのだろうか。この問いに対し、本研究は、高校教育段階に焦点をあてて以下の観点からの解明を試みる。第1の軸となるのは公立、私立といった設置主体である。第2の軸となるのは地域性(都道府県レベルの差異)である。これら2つの軸を鍵として、教育の提供構造を解明し、その規定要因を明らかにすることが本研究の目的である。 研究方法としては、以下の2つの方法をとっている。1、定量的データベースの作成とその分析、2、定性的資料の分析である。本年度は昨年度に引き続き1、については、『全国学校総覧』に基づいた年度ごとに学校単位でのデータベースの作成、2、については、府県レベルでの高校政策に関する資料を収集した。加えて、昨年度収集した府県レベルでの高校に関する資料をもとにしてケーススタディを行った。その際、教育拡大前の高校進学率と教育拡大期における私立高校の重要性に着目して、都道府県を4つに分類し、それぞれの類型で特徴的な県を事例としてとりあげた。具体的には、香川県(進学率・中、私立依存度・中)、徳島県(進学率・低、私立依存度・低)、宮崎県(進学率・低、私立依存度・高)、そして神奈川県(進学率・高、私学依存度・高)の4県である。これらの県において、拡大期において私立高校は、高校政策の中でどのように位置づけられていたのかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「定量的データ」の整備については、ほぼ計画書通りに入力、整備作業を行っている。「定性的資料」の収集について、昨年度は東日本を中心に収集を行う予定であったが、東日本大震災の影響を受け、図書館の開館が限定されていたため、必要な資料を収集することは叶わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果をまとめた報告書を作成することが本研究課題最終年度である来年度の目標となる。 1、定量的データベースの作成と分析については、データベースを完成させ、それを分析することで、地域類型を作成し、その特徴を描き出す。2、定性的資料の分析では、これまでに収集した資料のより丁寧な読み込みと分析を行う。加えて、地方図書館の開館状況にもよるが、可能であれば東日本の資料の収集を追加的に行い、各類型の政策的動向の記述を深化させたい。開館状況により、東日本の資料の収集状況が芳しくない場合は、同一の類型に属する他の都道府県の資料を収集することで代替したい。
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