2010 Fiscal Year Annual Research Report
大学全入時代に即した高校と大学の「教育接続モデル」の研究
Project/Area Number |
22530933
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
佐藤 智美 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (80240076)
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Keywords | 大学入学 / 高大接続 / 大学ユニバーサル化 / カナダ / オーストラリア |
Research Abstract |
大学全入時代を迎えた我が国では、従来の選抜(入試選抜)に替わる新しい接続方式を創り上げることが喫緊の課題となっている。本研究では、そのような新しい「教育接続」のあり方を探求するため、これまでの研究成果を踏まえ、従来、あまり注目されてこなかったが、「教育接続モデル」を考えようとするにあたり大きな示唆をえられる国として、カナダ・オンタリオ州とオーストラリア・クイーンズランド州の高大接続システムを対象とする。そして、同システムを機能させるための二大要素である「中等学校成績評価システム」および「進路分化・選択システム」の詳細を明らかにした上で、今後の我が国のための高大接続システムのモデルを示す。平成22年度は、カナダ・オンタリオ州における中等学校の進路選択のための多様な取り組みについて聞き取りを中心に調査した。オンタリオ州の中等学校では、中等学校卒業後の4つの進路である、大学、カレッジ、職業訓練、職場のどれを生徒が選択したとしても、その実現に向けた支援が重視されている。今回の調査では、ピール教育委員会が管轄するフレッチャーズ・メドウ中等学校とスティーブン・ルイス中等学校を訪問し、そこでの生徒の進路選択過程にどのように教師はじめスタッフがかかわり、支援を提供しているかを理解することができた。2つの中等学校とも移民の生徒が多く通学しており、言語の種類は数十に及ぶ。そのような多文化を学校教育に生かしつつ、オールタナティブ・プログラムやコープ・プログラムを充実し、将来のキャリアを見据えて、実際の職場体験を組み込んで、生徒を卒業、その後の進路へと導くことに成功している。また、学校生活から落ちこぼれそうな生徒に対する支援プログラムの開発に力を入れており、高校中退者が増加しつつある日本の教育を考えるうえでも参考になった。
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