2010 Fiscal Year Annual Research Report
インフォーマルな音楽学習のフォーマルな教育機関への導入に関する先進的研究
Project/Area Number |
22530945
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
水戸 博道 明治学院大学, 心理学部, 教授 (60219681)
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Keywords | 音楽教育 / インフォーマルな学習 / アイルランド伝統音楽 / 口承法 / 絶対音感 / 音楽の認知 |
Research Abstract |
本年度は異なる様式の音楽学習に関する予備調査を第1段階として行った。その結果、音楽の学習方法には、音楽様式の違いによる音楽の認知の仕方の違いが大きく関与していることが課題として持ち上がった。そのため、本年度は、まず音楽様式の違いによって音楽の認知の仕方がどのように異なるのかをインタビュー調査によって明らかにし、その上で、調査対象の教育機関を決定することとした。 異なる音楽様式における音楽の認知の仕方の違いについては、例えば、音高の認知に関しては、楽譜を使用する音楽の学習と、楽譜を使用しない音楽の学習よって、その認知の仕方が大きく異なることが調査によって明らかになった。したがって、楽譜を用いないことの多いインフォーマルな場での音楽学習を、楽譜を用いることの多いフォーマルな場に導入する方法を検討するにあたっては、インフォーマルな場でおこなわれている音楽学習での音楽の認知の仕方を、どのようにフォーマルな場での音楽学習の認知の仕方に適合させていくかを検討しなくてはならないことが確認された。 本年度は、こうした調査結果を受けて、フォーマルな教育機関の調査対象をアイルランドの伝統音楽とした。アイルランドの伝統音楽は、基本的に口承法を中心とした楽譜を用いない学習方法であるが、アイルランド音楽は器楽の学習が中心的存在となることも多く、器楽の運指法と関連した音名の認知も、学習の過程でとても大事となる。そのため、フォーマルな機関では、音高の認知に絶対音高を採用するか、もしくは相対音高を採用するかといった音楽の認知的側面が、学習方法を検討する上で非常に大事となってくる。こうしたことから、本年度研究の調査対象として最適の場所であることが明らかになった。 調査結果の詳細な分析は翌年度とするが、アイルランドの音楽のフォーマルな場での教育には、学習者の音高の認知の違いを十分に配慮した学習方法が採用されていることが明らかとなった。
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