2011 Fiscal Year Annual Research Report
スパイラルを重視した数学的活動による代数学習の深化を促す単元と学習方法の開発
Project/Area Number |
22530957
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
両角 達男 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (50324322)
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Keywords | スパイラル / 数学的活動 / 代数学習の深化 / 数列 / 問題解決の方法 / ふりかえり / 新たな意味形成 / 認識のゆらぎ |
Research Abstract |
平成23年度の研究では,スパイラルを重視した数学的活動による単元「数列」を開発し,その授業実践と質的な分析を通して,代数学習の深化を促す単元と効果的な学習方法に関する考察を行った。単元「数列」の学習は,生徒が既に学んできた2つの単元「平方根」,「式と証明」とのつながりを重視して展開された。単元「数列」での学習活動の分析を通して,次のことが見いだされた。 1.数列の学習が進むにつれて,生徒の考察の視点が内容そのものに関わることから,問題解決の方法に関わることに変容していた。なお,生徒は表現を変えて問題解決を図ったり,表現を変えての事象の解釈を関連づけることに価値を見いだしている。 2.生徒が問題解決の過程をふりかえり,自分自身と問答するように記述していく活動が,考察の視点の変容を促したり,単元「数列」と他の単元での学習を関連づけたりすることにつながる。 3.無理数に収束する有理数列の探究を通して,極限の考えや漸化式の見方を意識して有理数から無理数に接近し,その意味を解釈することが行われた。この活動を通して,生徒は無理数に対する新たな意味形成と概念変容を行っている。 4.無限や収束列を意識した見方で無理数をとらえることにより,無理数に対する新たな認識のゆらぎも発生している。例えば,無理数に収束する有理数列について,再帰的に接近する様子を関数のグラフで解釈する活動が行われている。リターンマップがある点に至るかどうかを考えたり,そのことを式を関連づけて解釈したりしていた。その学習活動を通して,ε-δ論法の考えにつながるアイデアも見いだされ,新たな認識のゆらぎが無理数に関する,より本質的な問いや発想を生み出していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究目的である,スパイラルを重視した数学的活動による単元「数列」の開発,授業実践とその分析については,予定通り行っている。また,数の拡張に関わる単元「平方根」での質的なデータとの関連分析についても徐々に行っている。理論的な考察については,知識の成長や中高連携の視点などに焦点をあてて,継続的に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
同一生徒に対して実施される複数の単元での学習活動の分析,中高連携を重視したスパイラルを重視した数学的活動の開発とその実践と分析について,さらに考察を進める。
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