2012 Fiscal Year Annual Research Report
『国語教育誌』を対象とした昭和戦前期国語教育の動向についての研究
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22530962
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
有働 裕 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20213465)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国語教育学会 / 国語教育誌 / 昭和戦前期 / 藤村作 |
Research Abstract |
前年度に続き、『国語教育誌』そのものについての、現存状況についての調査を行った。昭和十三年一月号〔創刊号〕から昭和十四年四月号、昭和十四年八月号から九月号、昭和十五年一月号、昭和十五年五月号から九月号までは架蔵本があり、創刊号については、昭和十二年十二月廿八日の発行が確認できる。しかしながら、終刊については、昭和十六年に終刊していることはほぼ間違いないものと思われるが、何月号まで刊行されていたのかは定かではない。その件に関して、愛媛大学図書館、福井大学図書館等を調査した。 さらに、『国語教育誌』昭和十五年四月号から十六年九月号(終刊号)までの書誌と記載内容概要をまとめ、『愛知教育大学大学院国語研究』第二十一号(平成二十五年四月刊行)、および『国語国文学報』第七十一号(平成二十五年四月刊行)に掲載した。今回の調査で興味深かったのは、国民学校令の施行前後の国語教育界の緊張感ともいうべきものが読み取れた点である。なお一層ファナティックな国粋主義を主張する傾向が全体としては強くなっているのだが、巧みなレトリツクを用いつつ、軍部主導の当時の教育の在り方を暗示的に批判している論者も、少数ながら見出すことができる。戦後の学習指導要領の作成にかかわった輿水実などはその代表的存在であった。また、満州視察を終えた、国語教育学会会長の藤村作が、「五族共和」のスローガンとは全く逆方向にある現実を見て、当惑している様子も巻頭言に見出すことができる。このあたりの動きについては、本研究の中心部分ともいうべきものになるため、詳しく分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
書誌調査、内容分析ともに予定どおり進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って作業を進行させるとともに、全国大学国語教育学会の春季大会(弘前大学)にて発表を行う。
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Research Products
(2 results)