2011 Fiscal Year Annual Research Report
数学的問題解決における表現の役割を意識した授業デザインに関する基礎的研究
Project/Area Number |
22530963
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
山田 篤史 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (20273823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 浩 上越教育大学, 学校教育研究科, 教授 (80251867)
清水 紀宏 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50284451)
岡崎 正和 岡山大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (40303193)
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Keywords | 数学的問題解決 / 表現 / 授業デザイン |
Research Abstract |
本年度は,昨年度まとめた「数学的問題解決に有用と目される5つの汎用的表現」に着目し,本研究グループが持つ問題解決過程のデータを参照しつつ,問題解決の進展に果たすそれらの表現の役割について議論を進めるところから研究を始めた。しかし,そうした議論の中で,問題解決的な授業をどのようにデザインするかは問題解決過程,特にその進展の様相をどのように捉えるかという観点が不可欠であるとの指摘がなされた。そこで,まず数学的問題解決過程を捉えるモデルについて整理を行うことにした。この議論については,雑誌論文にまとめた(〔雑誌論文〕『イプシロン』掲載分)。 加えて,そうした問題解決の進展に関する議論を授業デザインの際に考慮するには,それらの特徴的なパターンを抽出する必要があるとの議論になった。そこで,研究グループが持つ幾つかの問題解決過程を記述したデータから,問題解決の進展と表現の変容が並行して生起していると解釈される特徴的な解決過程を抽出する作業を行った。ここでの作業・議論から,問題解決過程の進展に関わる特徴的な問題表象の変容パターンと解釈されるものとして,「構成/再構成」「抽象化/具体化」「シフト」という3っのパターンを取り出した。これらの成果については,いくつかの学会で学会発表を行った(2件の〔学会発表〕欄掲載分)。 このように,本年度は,授業デザインに関わる議論が先行して進み,表現・表象の観点から問題解決の進展をどのように捉え,どのような表現・表象の変容を採り上げて,授業デザインの方法論としていかすかに関わる成果は得ることができた。しかし,一昨年度に注目した「数学的問題解決に有用と目される5つの汎用的表現」が問題解決過程に果たす具体的な役割についての議論は後回しになったため,幾つかの検討中の結果に関する成果発表は来年度になることになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的では授業デザインの検討が最終目標になるが,その目的達成のためには,昨年度からの目標であった研究目的に関わる作業と並行して進められるべき作業があることが研究グループの議論で浮上したため,年度当初の目標ついては十分な成果は得られていないものの,来年度の最終目標を見据えた作業・議論については進展し,幾つかの成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
解決者が与えられた問題に対してどのような表現を構成し変容させるかを調査し,それらが問題解決の進展に果たす具体的な役割について明らかにする。ただし,問題解決過程の進展に関しては,本年度に指摘した3つの特徴的な問題表象の変容パターンを視点として解釈を進めることにする。これらの結果を基に,問題解決の進展における表現の役割の幾つかに焦点を当て,その役割を意識した授業デザインの方法論について検討する。
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Research Products
(4 results)